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生きることと死ぬこと「不滅のあなたへ・大今良時・感想」

 

不滅のあなたへの6巻を読みました。

 6巻を読んで一区切りという感じなので、今回は総括した感想になりそう。

6巻の内容に一切触れていない感想ですが……まあ6巻を読んで思ったことなので……。

 

 1巻で切ったという人が多そうな漫画であると思うのですが、この作品を途中で切るのはあまりにももったないと思う。

描こうとしている射程の長さと深さが半端じゃないので、物語が進めば進むほど面白くなっていくのは明白ですし、事実として今回の6巻は前回までのどの物語よりも面白かった。

フシの出来事を通した身体的・精神的な「成長」にフォーカスを絞られているので、巻が進むごとに物語の深みが増す。かつて傷つくという感情すら知らなかったフシが心を痛めているだけで物語になっていく様が本当に面白い。

 

生きる(死ぬ)ということは

大今良時は「生きることと死ぬことにまつわる全て」を描こうとしているのではないか……と思うほどの深さを感じる作品。この作品を読むと生きることということは、すなわち死んでいくことなのだということを痛感する。

これを週刊で描いていて、なおかつ「友情・努力・勝利」の要素はきっちり詰め込んでいる。

全体のテンポも程よい。この物語ならばいくらでも引き伸ばしようがあるのだけれど、意外なほどに小気味よく物語は進む。しかし、心動かされるところは十分に動かしてくる。絵もどんどんと魅力的になっていき、世界観とマッチしている。

漫画として、非常に素晴らしいと思います。

 

 

不滅のあなたへ」は人間であれば例外なく共通する「生きていく(死んでいく)ことにまつわる心の在り様」を描こうとしていると私は思っていて、人は必ず生まれて、必ず死ぬ中でなにを思い、なにを成すのか。生きていくことの尊さと、死んでいくことの尊さをびしびしと感じる作品だ。

 

人は死んでしまったらそこで終わりか? という自問は誰しもあると思うが、不滅のあなたへはフシの能力としてそこにアンサーを出している。

「その人を忘れてしまうことが本当の死」である。

死んでいったものの姿に変わることのできるフシの能力は、「関わりと死」というものを端的に表していると思う。関わったからこそ自分の中にそれが根付く、死んでしまったからこそ消える。

 

そして実のところ、それはフシだけの能力ではなく、人間すべてが持ち合わせていることに気づく。

自分もフシのように出会った誰かを自分の中に残して生きていることに気づかされる。それが目に見えるか見えないかだけの話。

しかし誰に教わったのかも忘れてしまったけれど、身体にはしっかりと残っているものがある。そうなると「人は忘れられても、死ぬわけではない」という結論にも辿りつくことができる。

 

では、人間の本質とはなにか。答えは単純「残す」ことだ。

子孫であれ、技術であれ、思想であれ、残し続けていくことで、人は記憶になり、文化になり、文明になり、形を変えて伝わっていく。

ではフシはなにを残すのか? 死ぬことのできない彼は残し続けることが可能だが、そこに「人としての幸福」は存在するのか?

 

……と、こんなふうにいくらでも妄想できてしまうのがこの漫画のポテンシャルの高さを表していると思います。しかも、それが物語の要素の一端でしかないというスケールの大きさ!

漫画好きだったらいくらでも考察できちゃう要素がてんこ盛りなんですわ!

いま続きが強烈に気になる作品のひとつです。

 

フシがこれからどういう存在になるのか。神と呼ばれる存在になるのか、はたまた人に成ろうとするのか。

全ての生き物が唯一共通する要素である「死」を凌駕した存在はこれから何を思うのか。

大今良時の描く「生きるということ」を最後まで知りたいと思う。

 

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 不滅のあなたへと一緒にフェアをやっているみたいなので、未読の方はぜひ。

魔法ものはたくさんあるけれど、「自分の得てきた知見を魔法に還元することで成長する」という感じが非常に好み。

主人公の活躍にちゃんと納得ができる作品は良いですよね。あとコマ割がめっちゃ凝っていて、なんども読み返してしまう。