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でもニは死ね「勝手にふるえてろ・綿矢りさ・感想」

 

勝手にふるえてろを観ました!!

furuetero-movie.com

 

原作未読、前情報一切なしの状態で観に行きました。

結論から言うととても良いです。鑑賞中、感情を振り回されまくりでした。綿矢りさの映像化として100点の出来と言っても過言ではない!!

以下、ネタバレありの感想です。

 

感想

点と点が線になり、線と線が円になり、最終的に行き着くセリフが「勝手にふるえてろ」というあの結末は美しすぎます。

この映画に対する全体的な感想として、構成が美しいというのがある。コメディチックでありながら、全体に非常に無駄がない。どの要素も多面的な意味が含まれており、「ただ面白いセリフ」だけではなく、それが何らかの意味を示唆している。例えばオカリナの名前が判明するシーンは一見するとただのギャグ。しかし「名前に縛られている人生なの」というセリフがあるが、これが後半で効いてくることになる。「アンモナイトの進化の過程で起きる異常巻」とかそういった何気ないと思っていた要素が、物語の根幹になっているとか……なにかとなにかが呼応しており、作品として美しい。

こういった構成の美しさにおいては、非常によくできた物語だと思う。

 

この映画の鑑賞体感スピードが非常に早かったのも特徴のひとつです。

テンポ感がとてもいい。上記したような、構成美を目指すとどうしても物語の推進量が鈍重になりがちなのだけれど、この映画にはあまり感じられない。

「恋の停滞」というだるくなりがちな状態を、軽やかなセリフ回しと、視覚や聴覚に訴えるような効果のある笑いがそれを軽減させている。そしてその笑いにちゃんと品が保たれている……よいバランス感だと思いました。

 

主演の松岡茉優さんがダントツに素晴らしかった。むしろ松岡さんの演技だけでも鑑賞する価値があると言えるだろう。演技の振り幅がとても広く、観ているだけで愉快な気持ちになれた。表情の切り替わりがうまいと思います。

綿矢りさの描く「痛々しいおんな」をここまで再現してくれるとは思わなかった。「ファーックファックファックファックファック」の言い方なんて「まさに!」って感じでした。

 

個人的には非常に素晴らしく、心地のよい作品であり、傑作と呼ぶに相応しい作品だと思うのですが……。

唯一の懸念点というか唾棄すべき点をあげるとするならば、ニがうざすぎるということでしょうか。

わかっているんです……物語の構成上、彼がああいった性質を持ち合わせていなければいけないというのは……。

しかし言わせていただきたい、どれだけ構成上では美しい要素が存在していても!!どれだけ結ばれるだけの要素が存在していたとしても!!!二がクソうぜえという事実に変わりはないんだよ!!!!!

 

途中まではね、傑作だと思っていたのですよ。「あーここで終わったら陳腐だなー」と思っていたところで何度も物語の性質が転換するので、これは想像していた物語とは全然違うところに行き着くんじゃないの!?という期待があったんですよ。

でもね! 結局そこかよ! と思ってしまったんですよ。結局そこに行き着くのかよ!と……!!!

ただ、物語の構成としてはそこに行き着くのが必然です。あそこでもう一回展開したらまとまりなく、陳腐になってしまう可能性もあった。

 

だからこの感想は生理的な感情に由来しています。

とにかく二がうざい!! 死ね!!!

どれだけの舞台が整えられたとしても!! どれだけの奇跡が巻き起こったとしても!! どれだけ名前を何度も呼んでくれたとしても!!!

あいつと関係性を進展させるということそのものに強烈な嫌悪感がある!!!!

 

なんだあいつ!? いいところがひとつもないだろ!!! 言っておくけれど、あいつは物語の進行の中でなにひとつ成長してないからな!

あいつは最初から最後まで赤鉛筆を折って謝罪をしない人間となにひとつ変わってないからな!!!

あいつは他人のマンションに不法侵入する不器用を履き違えたストーカー犯罪者だからな!!!!

 

何度も言うけれど、物語の構成上は結ばれて然るべきなんですよ。だってそういう要素が配置してあるんですもの。

だからこれは生理的な問題です!! 私はあいつが嫌いです!!!

 

ではこの映画の最良の結論はなにか。

「くるみと結ばれる」という結論に至るべきでしょうよ!! そうすることで全ての要素を解決できると思うんですよね……。

でも最後のふせんがジワリとはりつくシーンなんて「うわああ!」と声をあげたくなった時点で私の負けです。傑作!

 

 原作

勝手にふるえてろ (文春文庫)

勝手にふるえてろ (文春文庫)

 

 これを機に綿矢りさを読み通してみようかと思います。とりあえず3冊ほど買いました。