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親の言葉は『呪い』である「MAMA・1巻・売野機子・感想」

MAMA1巻を読みました。

MAMA 1 (BUNCH COMICS)

MAMA 1 (BUNCH COMICS)

 

ツイッターでおすすめされていたので買ってみたのですが、これがとても良かった。こういう物語は一気読みせずに一冊ずつじっくり楽しんでいったほうがよいと思うので、丁寧に追いかけていきたい。

 

感想

親の言葉は呪いである……というのは僕が度々語る持論みたいなものだけれど、この作品もそういった観念を孕んでいる。

親の言葉には潜在的に呪いの要素がある。右も左も分からない幼少期にたびたびかけられた言葉を信じこんでしまい、まるでそれが自分の指針であるかのように錯覚してしまうのはよくある話である。

主人公であるガブリエルは確実にその呪いにやられてしまった類の人間だ。生き方、人生思想そのものを親の言葉によって固定されてしまった人間。

そんな人間が己の人生とどう向き合うのかという物語……であるのならば、まあよくある物語だなと思い続刊を買おうとは思わなかったと思う。

 

今作の優れている点はもうひとりの主人公であるラザロだ。

彼もまたある意味で親の言葉に呪われてしまった人間である。親の言葉に反発することで己を維持させようとする様は見ていて幼さ特有の痛ましさがある。

彼の人間臭いその有様を眺めながら「自分にもそういう時期があった」と過去を想起して読み進めていた。親の言葉は呪いであるということは誰にも逃れられない事実なんだなと思いながら。

だが1巻終盤でラザロは「親の呪い」をいとも容易く克服してしまう。

端的に言わせてもらうならば、「呪い(のろい)」を「呪い(まじない)」に転換させてしまうのだ。

かけられている言葉は同じはずなのに、当人の気の持ちようだけで言葉を転換させるというのはまあよくある話ではあるのだが……。

いや驚いた。このテーマならばそこに行き着くことはなんとなく予想ができた……が! こんなにも早く転換させてしまうのか!? この転換はラスト付近に描かれてもあんまり不思議じゃないぞ!? という驚きがあった。だからこそ、この後なにを描くの!? という点でとても続きが気になる。

「あ、この作品もっと深いところまでいってくれるんだ!」という期待ができる1巻だった。

それにしても「淋しかった? ママ」「もう淋しくないわ。この感触とその質問だけでママは もう淋しくならないでいられるわ」というセリフの説得力な!!

言葉に呪(のろ)われる瞬間と呪(まじな)われる瞬間が描かれているのもグッときた瞬間だったな。(のろいもまじないも言葉としては同じ意味合いなんだけれど、前者はネガなイメージで後者はポジなイメージで使ってます)

 

さて肝心の音楽的な要素であるが、これも非常に素晴らしい。

「ソプラノ」という要素を使って物語を描くこと=喪失を描くことになると思うのだけれど、「天使」という要素をブチ込むことで物語全体にサスペンスの匂いが立ち込めたのが最高すぎます。

死に至ることそのものがある種の賞賛であるという作品の、全体に漂う胡散臭い感じが大好きです。

そもそもなんだよ「天使」って!! 胡散臭え~~。ちょくちょく垣間見える歪んだ世界観が最高すぎます。

永遠に持続しないからこそ尊ばれる要素を、死によって永遠にしようとする……なんてことが行われそうでドキドキします。過度期に突如奏でることを止めたからこそ尊ばれているものが多くありますからね。

 

1冊にブチ込まれてる要素が多すぎて、どう読んでも面白そうなんだよな……。

MAMA 2巻

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 言葉選びがちょっと緩めの翻訳ぽいのも好みです。続きが楽しみ。

 

こちらもオススメ

ピアノの森(1) (モーニングコミックス)

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 読み終わったあとは合唱繫がりで「少年ノート」でも薦めるかな……と思っていたが、親の呪いについて記述もあるのでそちらの関連から「ピアノの森」をオススメします。

やっと完結したので、そういうタイミングでもピアノの森を読むならいまだと思います。僕はカイがひとり暮らししている頃が短いけれどいちばん好きです。

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