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This is the 渡る世間は鬼ばかり「なのは洋菓子店のいい仕事・若木民喜・感想」

 

なのは洋菓子店のいい仕事を読みました!

神のみの若木民喜先生の新作。ケーキ屋を舞台に三兄弟がドタバタと生活する漫画。

あまりにもあっさりとした読み口に最初は戸惑いましたが、何度か読んでいるうちに腑に落ちる瞬間があったので、個人的にはオススメしたいです……が、正直もう少し続刊が出てから買ったほうがいいかも? と思わなくはないです。

なぜそう思ったのか、詳しくは下記から。

 

感想

この物語は「半永久的に続けられる設定」になっています。いわゆるサザエさん的なアプローチで描かれていると思います。新キャラが登場して、物語は展開するけれど「前進」はしない。前進しても本当に微々たるものであることからも、若木先生はここで「ストーリー」を大々的に描くつもりはないのではないではないか? と思いました。

この「なのは洋菓子店」はホームドラマであろうとしているのだと思います。

作中でタイム兄が「この店にはお愛想も夢もストーリーもいらない」と宣言していることからも……たぶんそうじゃないかなあと思います。

「洋菓子店を再興する」という目標はあってもそこに向かって物語を突き詰めていくつもりはないですよーというメッセージなんじゃないかなと思います。

わかりやすい例を出すなら、この漫画は渡る世間は鬼ばかり」的なものをやろうとしているのではないのかと作品を読んで思いました。

幸楽という固定された舞台で生活する家族が巻き起こすちょっとしたドラマって言われればそっくりな気がしてきませんか。

「なのは洋菓子店はポップな渡る世間は鬼ばかりだ!」と僕は思ったのですが、どうでしょう?

 

結局それは面白いのか?

で、肝心なところはその若木民喜先生が描いたホームドラマってのは面白いのか? っていうところですが、個人的にはアリ!だと思います。相変わらず若木先生の描く女の子は可愛いし、全体的にゆったりとした漫画で好みではあります。

……ですが、上述したとおり強く推薦するにはもう少し時間が欲しい! と言わざるを得ない。

ホームドラマは、そこに登場するキャラへの好感度依存で成立する物語です。

つまり、「渡る世間」で例えるなら幸楽でえなりくんがなにをするとかじゃないくて、えなりくんが存在することそのものに喜びを感じる状態……というのが一級のホームドラマなわけです。

つまりそこに至るには積み立てが必要なわけです。

しかし現状では「なのは洋菓子店」はその積み立てるためのエピソードが少ない。そのために人によっては「この漫画、なにも起きないじゃん」って思われる可能性が高いのではないか? と思いました。実際になにも起きてないに等しいわけですし。

万人受けする状態が整うには、もう少し冊数を重ねる必要がある……と思います。

逆に言えば、この漫画が世界観を構築してエピソードもしっかり蓄えた状況を整えれば名作として成り立つと思っています。

そして若木先生は、今までのキャリアがあるからサンデーはそう簡単には打ち切らないだろうと予想していると思う。

2巻の時点で「もう少し読んでみたいな」と思わせるだけの牽引力がある程度はあると思うので、ホームドラマとしてはそこそこ成功しているのではないかと思います。

ってことで総括としては「現状として作品全体の意図は見えるが、 手放しで賞賛はできない。しかし大いに期待したい!」という感じです。

 

これは余談ですが、アマゾンレビューで煙草に関して言及されすぎてちょっとげんなりしてしまった。若木民喜という作家は「理由付けのないものは出さない」ということを、アルバと神のみであれだけ知らしめたというのに、こんなふうになっちゃうのかあ……と。

気持ちはわからんでもないけれど、作中で「煙草じゃない」とか「煙草でなくてもありえない」とかなんども言及されているのだから……ねえ? と思ってしまう。

 

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 2巻と同時刊行された若木民喜の哲学的漫画。こちらも感想書きます。

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