読者には誤読の権利がある

だから勘違いした感想書いてても許してほしい

2015年ベストミュージック10選

 選考基準

「僕が2015年にハマった作品」であること。

 

王舟 / Wang

Wang

Wang

 

 昨年にツイッターで教えてもらってから、今もなお聴き続けている素晴らしい作品。聴き心地が家っぽい。もっと極端に言えば自分の家のトイレっぽい。

世界でいちばん落ち着く場所は? と問われたときに僕はいつも自分の家のトイレと答えていた。そんな「そうそうこれこれ」というフィット感がこの作品にはある。

完全に世界から隔離されていることに心地よさを感じる。僕にとってはそんな音楽。

Best track:Thailand

 

 Cornelius / point

point

point

 

 果たしてここまでの音像を作りこんだあとに向かう場所とはどこなのだろう? これからどこへ向かうつもりなのだろう? と聴き終わったあとに思ってしまう。それほどまでに完成度の高い作品。新境地で終着点のような心地を抱いてしまう。

これ以上を望むと幾何学的に音を重ね、ポップネスを完全に排除したものになりかねないのでは?……と思ってしまうのだが、その答えはそれ以後のCornelius作品が物語っている。

小難しいことは抜きにヘッドホンで聴き狂うと良い。

Best track:Another view point

 

三回転とひとひねり / メルヘン巻

メルヘン巻

メルヘン巻

 

 年をとるにつれて無闇矢鱈にキラキラした音楽が聴けなくなってくるのは、おそらく多かれ少なかれみんな感じていることだと思うけれど、僕も例に漏れずそうだ。

そんな中、僕のポップ精神を撃ちぬいたのがこの「三回転とひとひねり」だ。

奏でられる音楽はポップだ。だが加えられた音は過剰ではない。けれど細やかな工夫が多数みられる。そこにニヤつく。そして、そこはかとなく潜むノスタルジックな音像。ところどころに香るチープな匂い。

まさにいま聴きたいのはこれだったのだ! と思うほどにジャストフィットしたポップミュージックだった。

派手さはない。今時ではない。だがそれがいい。これでいい。

Best track:B面

 

KNOTS

ヘルメンマロンティック

ヘルメンマロンティック

 

 ヘルメンマロンティックをよく聴いたわけではなく、ノッツ作品を満遍なく楽しんでいた。僕はやはり宅録作品が好きだ。自分一人で全てを完結させてしまうという閉じられた世界観が好きだ。自分の性分もそちらに近いからだろう。可能な限りはイニシアチブをとり続けたい。責任は自分でとりたい。

音楽そのものというよりは姿勢を好ましく思ったのだろうと思う。「こうありたい」と願うからこそ、そこに近づくべく必死に吸収しようとする……というか。

もちろん音楽そのものも素晴らしい。やはり描かれる世界観が僕好みすぎる。女の子は最終的に傷ついたときがいちばん美しい。女の子はフラれてから2週間が、もっとも内に潜む美貌をさらけ出せる時間なのだと思っている。

Best track:うそつきでもすき

 

吉田一郎不可触世界 / あぱんだ

あぱんだ

あぱんだ

 

 「バンドメンバーのひとりがソロワークを始めました」と聞くと、眉をひそめる人がいるとは思うが、僕はその逆でもっとやってくれと思う。バンドがある評価されているのなかで、そこからひとり抜きん出たときバンドとはどう違う音像を鳴らすのかがとても興味深い。

それがZAZEN BOYS吉田一郎ならば興味深さは一層増すだろう。

吉田一郎がZAZENに在籍する前にやっていたバンド「12939db」もとても素晴らしいものだったので、強く期待していたのだがいやはや素晴らしい作品だった。

作品全体に漂うのは、逃れられない寂寥とそれに対する仄暗い諦観を描いた作品だと思う。圧倒的に無防備である。

Best track:たまプラーザ

 

Teen daze / The Inner Mansions

The Inner Mansions

The Inner Mansions

 

なにがきっかけで知り得たかは忘れてしまったが、知った瞬間に渋谷の中古CDショップに走って買いにいった記憶がある。

夏の日の火曜日だった。一刻も早く素晴らしいと思った音楽を手にしたいという、異様なほどのきらめきを抱いていたあの時の僕には、確かに十代の自分が乗り移っていた。

そういう瑞々しい気持ちを思い出させてくれたという点からもベストに挙げさせてもらった。

Teen dazeの音楽は、十代の頃ではおそらく一ミリたりとも良いと思わない音楽だというのだから、人生というものはなんだか面白いなと思う。感性というのは変わるものだなとしみじみ思った。

分類としてはエレクトロニカ~ドリーム・ポップだと思うのだけれど、まあとにかく素晴らしいから聴いてみてほしい。新作はちょっと好みの感じとは外れてしまったのだけれど、それもまた良い。

聴いてみよっかなって人はできれば2nd~3rdの楽曲から試聴するのをオススメします。

Best track:Divided Loyalties

 

Noble oak / AWAY

AWAY

AWAY

 

かつて知名度の低い音楽ばかりを無闇矢鱈と好んで聴いている人を忌み嫌う時期があった。「知名度が低いこと」に重きをおく聴き方……つまりその音楽が好きなのではなくて「誰も知らないであろう音楽を聴いている自分が好き」というひとが心の底から嫌いだった。

なぜなら自分にもそういう側面があることを否定しきれなかったからだ。

なのでここ最近は知名度が低いであろう音楽を他人に薦めるときには、「悦に浸りたくて薦めてんじゃねーの?」という邪な感情が中心にあるのではないか? という感情に苛まれていた。

しかし、今回のベストミュージックを挙げるにいたって「Noble oak」を外すわけにもいかず、「これは他人に『へーマニアックな音楽知ってるんだね』と思われて悦に浸るために選ぶのではなく、本当に素晴らしいと思ったから選ぶのだ!」と葛藤しつつも、心のなかで己を説得しました。

そしてこの記事を書くために詳細情報を調べていたら……このNoble oakが来日公演も果たしている著名なアーティストと知りました。

井の中の蛙大海を知らず、とはよく言ったもんですね。

 

自分が知っている世界がどれだけ狭いのかを改めて実感しました。

そういう自戒の念も含みつつ、2016年は驕らず謙虚に生きていきたいと思っております。皆様の助けあっての自分であることを忘れずにいたいです。よく考えて行動し続けたいです。

で、肝心のNoble oakですが、エレクトロニカ・チルウェイヴ・ドリーム・ポップがお好きな方ならきっと気に入る思いますので……聴いてみるとよいのではないでしょうか。

前半の話、全部いらないですね。

Best track:We Decide

 

SAKEROCK / SAYONARA

SAYONARA

SAYONARA

 

 今年惜しまれつつも解散したSAKEROCK。ラストライブのDVDを観るまで多くは語れないなあと思いつつも、今回ベストに挙げさせてもらいました。楽曲のクオリティとしてはベストとは言い難いけれど、5人が揃ったということの幸福。その裏には予定調整をはじめとした様々な苦労があったのだろうということを想起すると、グッとくるものがある。5人の音が鳴っていることそのものがひとつの奇跡なのだ。

SAYONARAのPVで描かれる5人の表情。コーラスワーク。そこに涙せずにはいられなかった。

音楽的な喜びと苦しさを分かち合った仲だからこそ分かることがある。音で対話するということの素晴らしさを僕もいつかほんの少しでいいから味わってみたいと思った。

そういった思いも込めてのベストです。

Best track:SAYONARA

 

MONOEYES / A mirage in the sun

A Mirage In The Sun

A Mirage In The Sun

 

 ELLEGARDENを知ったのが14歳のときなので、そのとき以来10年ぶりの高揚感である……と言いたいところだけれど、やはり当時の自分と今の自分ではいろいろと違う。

しかしこのような音楽をかつてと同じ類のタフネスを用いて奏でる細美武士という人間をやはり敬服するほかない。

細美くんは当然のように素晴らしいのだけれど、トディ、スコット、一瀬さんの三人が本当に楽しそうでバンドっていいなあと思った。

Best track:Get Me Down

 

RHYMESTER

The R~The Best of RHYMESTER 2009-2014~

The R~The Best of RHYMESTER 2009-2014~

 

 これ! というアルバムがないので、ベストを挙げておくことにした。残念なことに「Bitter,Sweet&Beautiful」はまだ聴いていない。だいたい一年遅れで新譜を聴く癖が身についてしまっている。

僕はヒップホップに詳しいわけではないので、RHYMESTERの素晴らしさを語るとき、そこに内包される精神性の話ばかりしてしまうのだけれど……まあ端的に言ってしまうと折れかかった心をグッと持ち直してくれる力があると思う。こんな書き方するとチープ極まりないのだけれど、あらゆる語彙を用いてリスナーに言葉を届けようとしてくれる彼らに回りくどい言葉を使うのは、一種の恐ろしさもある。

だから今日は比喩もなしで、語呂遊びなしで、マッパ丸出しで。

Best track:K.U.F.U

 

総括

どれもこれもインターネット上でさらっと探せるようなものばかりなので、名前は聴いたことあるけど機会に恵まれなかった……という音楽は聴いてみてほしいです。ここにある10選は自信をもって薦められるものばかりです。

ここに入らないなかったけど熱心に聴いていた音楽は

BRAHMANJack JohnsonBase Ball BearLOSTAGEpomodorosaSpike Theory、STAn、toe、Trademarks & Copyrights、Wilco、さよならポニーテール、荒井岳史、麻生夏子花澤香菜……etc.

という感じだろうか。

ここ一年は音楽に関して語る機会に恵まれなかったけれど、なんだかんだ生活の中に根を張るように存在してくれる音楽に感謝しかねえ……。

2016年もたくさんいい音楽に出会えるように、意識的に頑張っていきたいと思います。では、良いお年を。

広告を非表示にする