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人はなぜホームランで感動するのか「ポテチ・感想」

映画

 

ポテチを観ました。

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感想

良かったです。伊坂さんっぽい作品だなーと思っていたら、やっぱり伊坂さんの原作だった。独特の語り口とか設定が伊坂っぽいですね。あとは濱田岳さんが出ているところも。

文章を書かずして作者の名前を想起させるって地味にすごいな。

70分くらいで観られるのが非常に好み。それでいながらヤマもオチもあって、構成的に美しいと思える作品でした。これもまた伊坂作品の特徴ですね。

 

全体的に上手いなー、という印象の映画でした。視聴後にもの凄い感動が訪れる! という映画ではないが、テンポがよいのでさらっと観終わってしまう。

ポテチを間違えて食べてしまうくだりで今村が泣き出すシーンはそこだけ切り取ると意味不明なんだけれど、後半になってある真相がわかると「なるほど、泣くよなあ」と納得してしまった。

こういう「ある事実を知ることで不可思議なシーンの意味がわかる」というのはとても伊坂さんっぽい。語るべきところと黙るべきところの差し引きが絶妙に上手い。事実を公表するタイミングが上手いんだろうなあ……と思う。

ある事実を知ったうえでもう一回観ると、グッとくるシーンがいっぱいあるとても良い映画でした。

 

キャスト

濱田岳さんの演技がとてもよかった。

僕はこの人が出ている映画が好きなんだな、とついに自覚した。このひとが画面に出てくるだけである程度の充足感が得られてしまう。

独特のすっとぼけた感じが役柄にとても合っていた。「三角形って~」という内容のことを言い出すのに違和感が全然ない。この人の感じだと言いそうだよな! という演技の説得力が凄い。

いい意味で「普通の人ではない雰囲気」を常にまとっている人だと思いました。どこか世間とはズレているような価値観のなかで生きているっぽい人を演じるのが上手い。

存在そのものが異質だから、彼が画面の中にいるだけでひとつのアクセントになる。それが濱田さんの凄みだと思いました。

 

木村文乃さんってはじめて知ったんですけど、なんかこの人すっごくエロいですね。ベッドで寝転んでいるシーンをみて不覚にもドキドキしてしまった……。

 

物語における「ホームラン」とは

ここから余談です。

 

この映画を観て考えるべきことといえばやはり「ホームランとはなにか」だと思うんですよね。

作中で若葉がホームランを「ただ打球が遠くに飛んだだけ」と表するけれど、じゃあなんで僕達はこの「ただ打球が遠くに飛んだだけ」のシーンを観るのと同時に「大団円」を感じるのだろうか。クライマックスにホームランを観ただけで物語全体がなんだか前向きな推進力を得てしまうのはなんでなんだろうか。

この映画の事実として、尾崎がホームランを打ったことでなにかが大きく変わったわけではない。尾崎はきっとまだ控え選手だし、今村は空き巣のままだ……けど、あのホームランのシーンには明確に救いを感じることができた。あのホームランが作中でなんらかの救済になっていたことは明らかである。

これをとても不思議と感じる。

ちょっとしたクラシックになっている「ホームラン打ったら手術してくれるよな」も不思議だ。ホームラン打ったからといってその子の病気が治る確率が上がるわけじゃない。人がホームランを打ったからといって自分に実益があるわけではない。因果関係がまったくないんだから当たり前だ。

けれど、人は因果関係がないものに命を賭すことができる。あの窓から見える葉っぱが落ちたら僕は死ぬんだ……とか普通に言い出す。けれど、当人は本当に心の底からそう思っている。

物語におけるホームランとは宗教的な立ち位置にいるのかもしれない。

起こるはずのない奇跡の一端、とても妄信しやすく、事実として起こりうる可能性の高いものとして、わかりやすい位置にホームランはいるのかもしれない。

 

いままで数々の作品で「ホームランによる大団円」を観てきたけれど、どれも「なんでおれは感動しているんだろう?」と思ってしまうんだ。

ホームランには人を強制的に感動させる力があるんだろうか。あるんだろうな。ホームランを打たれると感動せざるを得ないのかもしれない。

与えられたチャンスに最も素晴らしい結果を出した人に対して、感動を覚えないほうが不自然だということだろうか

 

いま突然に閃いたけれど、序盤に重力の話をしているところから絡めて……重力を「目には見えないけれど、自分たちに課せられた運命のようなもの」という感じに捉えて考えると、「重力(=己の運命)に己の力で最大級の反抗を起こした」という点がこの作品におけるホームラン意味ではないだろうか。

あ、なんかそんな感じがしてきた。個人的に腑に落ちたので、これで終わります。

 

次に観たい作品

偉大なる、しゅららぼん

偉大なる、しゅららぼん

 

濱田岳繫がりでコレを。万城目学さんの作品って当たりハズレが激しい印象があるので、やや不安ではあるけれども……。

追記:観ました。ハズレでした。

 

 ホームランといえば

図鑑

図鑑

 

 このアルバムに入っているホームランという曲がとても好きだ。図鑑のどこか混沌とした雰囲気のなかで、異質な勢いの清涼感がある。しかし歌詞に漂う寂寥感。佐藤さんはもっと歌詞も曲も作ればいいと思う。岸田さんに劣ってないよ。

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