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べたつきのない情感「かわいい悪魔・志村貴子・感想」

 

かわいい悪魔を読みました。

かわいい悪魔

かわいい悪魔

 

 志村貴子先生は「青い花」ぐらいしか読んだことがない。もっと読んでいるかと思っていたからちょっと意外だ。好きそうな作風なのに。しかもそれも5年くらい前のことだ。

 

 

感想

志村貴子先生先生の作品に共通して感じるのは「ベタついてない情感」だろうか。

この作品に関しても、ほぼ全編にわたって人間の情感を主軸に描いているのだけれど、それがベタベタしていない。肌触りがよい。そう書くとさらっとした物語を想像しがちだけれど、そういう意味でもない。スッと入ってきてしっかり残してく。

これは好きな作風だなあ。

全体的に繊細さを感じるのに、大味さを感じさせるときはがっつり振り切っていく。そういった器用さをこの短編では感じた。

そう、志村貴子先生ってすごく器用というイメージが強い。どんなテーマであってもちゃんと自分のフィールドに引き寄せて、自分の作品に昇華できる地力の高さを感じる。だから多作なんだろうなあとも思う。

 

あとまあ普通に絵が上手い。とても上手い。いやもうめちゃくちゃ上手い。

「不肖の息子」で整骨院のことを思い出したオヤジが言った「マットに沈み込んでいくトモちゃんの色っぺーことったら」というセリフがあるのだが、これが絵的に非常に納得できるのだ。本当に絵として「色っぺー」と思えるのだ。オヤジが言っていることに頷けるのだ。

文字で表現されていることが、絵でも表現されているということ。それだけで物語としての説得力がものすごく高くなる。

「綺麗な人だなー」と作中の人が言ったとして、それが絵として綺麗ではなかったら作品に説得力がなくなりますよね。

 

この短編集の個人的な白眉としては「とあるひ」だろうか。こういう邦映画にあるような「たるーい感じ」のする作品が大好きなんだよね。別に大げさな事件が起こるわけじゃないのだけれど、それがまた好きなんだ。

 

っていうことで、志村貴子先生の作品……もうちょっとちゃんと読んでみようと思う。このひとの作品ぜったい好きだ。

とりあえず敷居の住人あたりから読んでみようと思います。

 

 

これ欲しい

 志村先生って色合いも素敵なのだけれど、線画の美しさが凄い。

 

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