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超傑作だが、2度目の視聴にいけない作品「冷たい熱帯魚・園子温・感想」

 

冷たい熱帯魚を観ました!!!!!!!!!!

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この映画は久しぶりに震えがくるような作品ですね。超傑作だと思います。

 

超ネタバレするので、観てない人は絶対に読まないでください。

そしてこの映画は強くオススメできます。

興味がある方は前情報一切なしで観てください。

 

 

 

 

 

 

さて、もうほんと凄い映画でしたね。

よくぞ撮った……と両手を挙げて賞賛したくなるレベルの作品だったと思います。前情報一切なしで観ていたので、ずぶずぶと取り返しのつかない状況になっていく様は震えがきましたね。

そしてグロ耐性ゼロ、痛み描写耐性ゼロの僕が最後までこの映画を観ることができたことを多いに褒めていただきたい……。何度か目を背けてしまったけれど。

むしろ、そんな僕が最後まで観てしまうほどの威力がこの映画にはあった……と言う方が適当だろうか。

僕、映画はインスタントコーヒーを飲みながら観ることが多いんですけどめっちゃ後悔しました。しばらく飲みたくない。

以下から本格的に感想です。

 

 

感想

もう出てくる役者が全員名演技! 特にでんでんさん!

絶妙な「こんなオヤジ身の回りいるよな感」はもう本当に凄い。詐欺師としての巧妙な言い回しも素晴らしいのですが、あの元気を押し売りするあの態度。もう既視感の連続でした。

なによりも恐ろしいのが「こんなオヤジ身の回りにいるよな感」がボディブローのようにじわじわと効いてくることですよね。

そして映画を観終わったあとに知る、でんでん役の人物にはモデルがいるという事実。

自分たちがどれだけ危うい世界の中で生息しているのかを改めて突きつけられる。

「こんなオヤジが身の回りにもいるのかもしれない」という事実そのものこそが恐怖。

自分たちの現実に侵食される感触が本当に恐ろしい。

 

 

終盤の吹越さん演じる社本覚醒のシーンはゾクゾクしました。

人間っていうのはあそこまで振り幅をもって演技ができるのか……という感心もそうですが、なによりも素晴らしいのがラストシーンの妻に向けて手を挙げる挨拶のところ。

あれはもう観た瞬間に鳥肌がたった。「うわっ、もうこの人、完全にこっちの世界の人じゃねえ……」という、ね。

 

そしてラストシーンの社本の娘美津子を演じる梶原ひかりさんの咆哮。

あれにカタルシスを感じるのはどうかとは思うのですが、でもあれはやはりカタルシス全開のシーン。鬱積の爆発。

自分の世界を取り巻いている、自分の力では動かしようもない現実がついに息絶えたことで「本当の意味で自分の人生を取り戻した」ことによる咆哮。

というのも、美津子は常に「現状からの脱出」を試みていました。が、それは常に他力本願という姿勢でした。そして自力でなんとかするほどの力は未だに備わっていない。(そもそもその「自力」そのものが事件の引き金を引いてしまうことになるんだが)

そう思っていた現状で、あのラストに行き着いた美津子がどういう感情に行き着くか……と考えるとやっぱりあの咆哮は自然なものかな……と思います。

僕はあのラストに納得できました。

むしろそれ以外にどう終わるんだろう? 社本が村田の支配から逃れた瞬間とか? でもそれだと娘の存在が余剰になってしまうと思うんですが……どうなんですかね。

 

もう語り尽くせないくらいの名演技の数々。出てくる役者さん、それぞれに特筆すべき見どころがあるレベル。本当に凄い。

 

 

欠点をあげるとするならば、ちょいちょい納得のできない部分があったことでしょうか。

さすがに毒薬をあっさり飲み過ぎじゃね? とか、ヤクザ騒動の詰めの甘さとか……警察の追手を巻くときが一番感じましたね。いや周辺人物が30人以上行方不明になっている前提があるなら、もうちょっと人員割いてちゃんと見張っとけや!! と思ってしまうよ。

でもそこまで細かく描いてしまうと3時間映画になっちゃいますからね。この映画の重要なところはそこではないので問題はないです。ただ、没入度を下げてしまったのは事実だな……という感じです。

 

 

最後に、この映画の本当のラストである地球のシーン。これは様々な解釈ができますね。

まずは作中のセリフをなぞらえて、「今でもあなたはこれがただの地球にみえますか」というメッセージ。社本が決して手の届かないものとして星をや地球を仰ぎ見ていたことに繋がる……つまり自身にとっておよそ無縁であろうものとして感じているものは、驚くほど近くに存在しているという根源的な恐怖を再確認させる要素。

 

もしくは普通に宇宙から観れば非常に些細な出来事ですねというスカシ。もしくは逆に宇宙から観れば些細なことにみえますが、あなたが見ている世界のスケールではこれだけの事件が実際に起きているんですよ、という暗喩。

ここは観る人に委ねたという感じでしょうか。それとも僕が読み取れてないだけか。

 

 

最後に

なんにせよ、僕はもうこの映画及びあらゆる関係した物語にあまり深入りしたくない。

しばらく人間不信めいた思想をしてしまうのではないか、と思うくらいにこの映画が事実を元に作られているということがショックだった。

なるべく明るい筆致で感想を書き綴ったが、正直そうでもしないと感想なんて書けそうになかった……が書くべきだと思ったので書いた。

 

そんな気持ちになっても、これほどまでに素晴らしい作品はなかなかないという気持ちは揺るがない。

ので、やはりこの映画は傑作と呼ぶに相応しいと思う。

ただ、しばらくは観たくない。

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