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遅効性快楽作品「平方イコルスン・駄目な石・感想」

 

平方イコルスン先生の「駄目な石」を読みました。

駄目な石

駄目な石

 

感想書くのがずいぶんと遅くなってしまった……。 

 

イコルスン先生はトーチWEBの「スペシャル」から知った作家さん。pixivの作品もいろいろと独創的なものが多く、大好きな作家さんです。

言葉の選び方がものすごく独特で、テンポ感のあるセリフ回しが実に素晴らしい。「顕著」とか「嬉々」とか……そういった普段目にすることはあっても耳にすることの少ない言葉を好んで使っている印象があります。

当たり前の日常を切り取るような青春群像劇を多くの作品で取り扱っていますが、そのどれもが手触りが異端。

触った瞬間は「なんか妙だな」と手放しそうになるけれど、ずっと触れているとその感じがむしろ良い! みたいな漫画家。

 

 

で……まあそんな大好きなイコルスン先生の単行本「駄目な石」なのですが……。

最初は正直「んー?」って感じでした。

面白いのだけれど、のめり込むようなタイプではないと思っていました。1話読み終わると「ふぅ」と一呼吸置いてしまい、本を閉じて他事をしてしまう……みたいな。

グワッと惹き込まれるような感じを最初はうけなかったというのが正直なところ。

 

そう「最初は」なんです。

この作品は魅力の伝わり方が「遅効性」だと思います。面白さが脳味噌に届くのがとてもゆっくり。それはまあ僕の感受性がアレだという話でもあるのですが……。

読み終わってしばらくしてから、ふとした瞬間に物語が頭の中に浮かびだして「ふふっ」と思い出し笑いを誘発する。

そんな作品だと思いました。

「そういえばあの言い回し面白かったな」と通勤途中やトイレの中などで思い出したりするタイプの面白さだな……と。

 

しかもそれが癖になる笑いなんです。

見た瞬間に沸き起こる瞬発的な笑いではなく、提示された意図を理解をすることで笑いが引き起こされる作品。

大爆笑ではないけれど、いつまでもクスクス笑える作品。

時間経過とともにこの面白さを理解していくのが今は楽しくてしょうがないです。

「面白さがわかってしまったらもう引き返せない作品」だと思います。

「もうこれじゃないと駄目なの!!」って感情を呼び起こされる作品だ……。

こういう類の作品を僕はよく「感染系」と呼ぶことが多いです。

面白さがじわじわと身体に馴染んでいき、いつの間にか身体を蝕み、そればかり気にしてしまう……みたいな感じに受け取ってもらえれば。

 

個人的には「駄目な石」「相討ち」「橋」とかが好きですね。

やはりこの作品、物語の中で「んん!?」ってなってからの加速度が素晴らしい……。

 

 

テンポと挙動

それにしてもこの作品テンポが素晴らしくいい。それは順序良く快調に進んでいく、といった意味での「テンポの良さ」ではなく、「その場に適したテンポ感」を熟知したうえで描かれているという意味で。

会話の間の取り方が「実際に声にだして発したときの感じ」を忠実に守っている気がする。特に相槌の打ち方にはかなり気を遣って描いているんじゃないかな。その相槌があるのとないのとでは、二の句を継ぐ時の感じがまったく違うなーと思うシーンが多々ありました。

音読しながらこの作品を読んでみると、ものすごく気持ちがいいですね。芝居がかっていない。

 

あと手の動きなどの挙動がすごくツボです。

「挙動の無駄を省かずに描く」ということを全力でやっていると思います。

物語の進行上で確実に必要ではないけれど、そのキャラクターを描く上ではその動作をしないことが不自然となる……という動作を極力省かずに描いていると思いました。

そういうのすごく好きです。

 

 

 

思えば「スペシャル」のときも同じような感想を抱いたなと思い返す。

読んだときは「ふーん」くらいだったのに、思い返すとトーチの中でダントツに読み返している回数が多い。

それどころかpixivに載せられている作品も時々読み返してしまう。

「あのセリフ面白かったよなあ……」と思い返すと同時に、そこに至るまでの物語をもう一度味わいたくなる。

元々そういう魅力のある作品を描ける方なんだなと思いました。

 

 

 平方イコルスン先生が好きな方はこちらもどうぞ。

お尻触りたがる人なんなの

お尻触りたがる人なんなの

 

いや平方先生が好きで位置原先生を知らない人ってあまりいないような気もするのですが……まあそれは置いといて……。

こちらも「面白さがわかってしまったらもう引き返せない作品」だと思います。

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