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地に足つけた青春を「銀の匙13巻・荒川弘・感想」

 

銀の匙13巻を読みました。

銀の匙 Silver Spoon 13 (少年サンデーコミックス)

銀の匙 Silver Spoon 13 (少年サンデーコミックス)

 

今回もいい感じでしたよっ、ってことで感想かきます。

 

 過去に書いた銀の匙の感想記事はこちら。

 

感想

さて……前巻が猛烈なスピードで時を進めたので、もしかしたら13巻で終わってしまうのかも? と思っていたのですけれど……ひとまず安心。

12巻の流れに関して様々な物議が醸されたみたいですが……描きたいことを描く為には時を進めるほかなかったのかもしれない……というのが僕が受け取った印象です。

馬術部のインターハイを描く……ってなったときにまだ来年にチャンスがある状態での八軒たちを描いてもしょうがないですもんね。「いやでも来年あるじゃん」とか「時間があるんだからそんなに焦らなくてもいいじゃん」という読者の思考を早めに摘んでおく為の処置だったのかな……と思いました。

 

 

それにしても……銀の匙を読んでいると、漫画に影響されて農業高校や農大を志す10代の気持ちにも頷けてしまいますね。

僕も思わず「自分がこの物語に介入したならばなにをするだろう?」と考えてしまう。

憶測ではあるのですが、農大や農高を志す大多数は「農業」に興味が出たのではなく「こんな青春」に興味をもったのだろうな……と思いました。

僕が10代ならば、銀の匙で描かれる「理想の青春」に憧れずにはいられない。

描かれる物語は夢あり恋ありのストレートな青春物語なのに、「地に足がついている」という点がとても魅力的にうつるのだろうな、と。

「学生なのに仕事をしている」という点が良いのだろう。

学生という立場でありながら自立に直結する活動をしている。勉学が実際に身になっていき、それが「お金を稼ぐ」ことに直結していく様に羨望を抱いてしまう。

死ぬほど労働させられていて、お金にもあまりならないという現実を描きながらも、登場人物たちが実にイキイキと楽しそうな点。

これが現代の10代が描いている「先行きの暗い未来」に対する希望に見えるのではないかなと思うわけです。

将来の不安感を払拭させるくらいに希望に満ち溢れた展開。それが10代を夢中にさせるのだろうと思いました。

 

銀の匙は実にまっとうな「青春物語」なのだけれども、他の青春作品よりも「一歩だけ社会に足を向けた」作品。

学校内だけの活動では収まらない「きちんと社会に足を向けた学校生活」を描く作品。

だからこそ、現代の大言壮語を避ける現実主義な生き方に対する学生にとっての、バイブル的な立ち位置を獲得できたのかな……と思いました。

 

そういった立ち位置を獲得しながらも、「憧れるのはかまわないけれども、農業なめんな。マジで死ぬほど大変なんだぞ。生半可な気持ちでやれるものじゃないんだぞ」という警鐘と「努力する人をなめんな」という叱咤を銀の匙に込めるあたりも、凄く荒川先生らしいなあ……と思います。

希望だけを描くつもりはないぞ、というのはハガレンから続くスタイルですね

頑張る人を描きながらも、頑張る人には「試練」があり「理由」がある。そのあたりはまさに荒川節ですね。

 

荒川先生が実地で農業をやってきて、ハガレンのときに死ぬほどの努力を重ねてきた人だからこそ、やはりその思想に説得力がありますね。

バックグラウンドを参照して物語を読み解くのは無粋だとは思うのですが、荒川先生の作品は「荒川弘の人間性」と言っても過言ではないくらいの物語が多いので、ついついそういった点も鑑みてしまいます。

いや、そりゃあ漫画なんて作者の人間性なのは当たり前なんですけれども……それがより如実に現れているなーというか。

最近の作品は、いい意味でオブラートが薄くなってきた感じがしていて好みです。

 

 

銀の匙を読んで農業を志す……という方にはやっぱり「もやしもん」は読んでほしいなと思いますね。

もやしもん(13)<完> (モーニング KC)

もやしもん(13)<完> (モーニング KC)

 

もやしもん」も大学生の1年間を異様な密度で切り取るという意味では、「銀の匙」と似通った部分があると思います。

「勉学」が「仕事」に直結していく様も同様と言えなくもないかな。

もちろん農業を志す人だけじゃなくても、もやしもんは絶対楽しめる

読むとお酒を飲むのが楽しくなる漫画。

実地の取材がめちゃくちゃ肉感をもって表現されているのが好みです。

 

それにしても最終巻……僕は限定版を買ったのですが、実は表紙に関してはこちらのほうが好みなんですよね……。

石川先生の新連載たのしみだー。

純潔のマリア (3) (アフタヌーン)

純潔のマリア (3) (アフタヌーン)

 

 石川先生読んだことないよーって方は「純潔のマリア」読んでみてはいかがだろうか。3巻完結なのにものすごい密度の物語ですよ。

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