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それでも生活は続いていくのです「きのう何食べた?10巻・よしながふみ・感想」

漫画

 

きのう何食べた?」の10巻を読みました。

きのう何食べた?(10) (モーニング KC)

きのう何食べた?(10) (モーニング KC)

 

梅雨どきにあわせたちょっとシックな雰囲気の表紙。それでいながらふたりの服装がラフで思わず「ふたりの日常」を想起 してしまいますね。買い物帰りに「あー降ってきちゃったね」とか言ってるのかな……とか。

ケンジは「相合傘とかしてみたいけれど、さすがにそれはシロさんはしてくれないんだろうなあ……」とか考えているのかな……とか。

やはり10巻ともなると、登場人物の心情をより考えながら読んでしまいますね。

 

前巻の感想はこちら。

 

さて……10巻ですが、なかなか多種多様な物語が多かったですね。そしてやはりこの漫画は作中のスピードがえらく早い。1冊の中で夏がきて年末を過ごしてしまっているじゃないか。そりゃあシロさんも50歳をこえますね……。

 

10巻も実に面白かった。本当に「きのう何食べた?」は読んでいる間の「生活への還元パワー」が凄まじい。

読んでいると料理したくなるし、誰かとお話したくなる。

「現実に影響が出る漫画は例外なく名作」というのが僕の持論ですが、「まさに!」という作品。本当に好きです。

これを読んだあとはしばらく自炊を頑張っちゃう! なんて人多いんじゃないでしょうか?

 

今回の話の中で好きだった回は「シロさん親子のおうち焼き肉」「ケンジが金髪」の話ですかね。特に前者はなんか読んでいるときの多幸感が凄まじかった。

 

シロさん親子のおうち焼き肉

個人的なことですけど、大学生になって実家を出てから如実に感じることがありまして……親との食事が凄く楽しい

やはり同じ食生活を共にしてきただけあって、美味しいと思うポイントが似ていますね。学生のころの狭い見識でなく、社会に出て自分の経験や思想に広がりが出たからこそ、親との会話も楽しめる余裕ができるようになったな……とここ数年感じます。

 

自分がそういった意識になったからこそ、なんだかシロさん親子の会話が妙に愛おしく感じる。家族全員が好きだった食べ物をつつき合いながら、思い出を語り合い、美味しさを再確認する……。

これすごくグッときました。僕の家だったらこれ手巻き寿司だな、とか思ったりして。

家族共通で美味しいものは認識しているのだけれど、それぞれこだわりがあって……それを共有したりする作業。

実家帰りたいなー、と思ってしまうワンシーンでした。

それにしてもシロさんの両親はどんどんいいキャラになってきますね。病気になったあたりからかなり砕けた印象になりましたね。遠慮がなくなり、ある種の開き直りが出てきた。ケンジが家にきたことがきっかけにもなっていると思います。

改めて、いい形で作用し合っている人々だと思いますね。

 

ケンジ金髪問題

そして読者の皆さん驚きのケンジのイメチェン。皆さんどう思われたでしょうか?

僕は終盤にはけっこう慣れていたのですが、やはり初見の驚きは大したものでした。

 

「これ驚く人多いだろうなあ……。加齢による頭髪の問題は、男性ならば避けては通れぬ道だとは思いますよ? けれども髪型を変えることはないじゃない……どうしちゃったのよまったく……」

 

と、思っていたのですが…… 普通に生活している以上、髪型を変えるなんてままにあることだよな、と思い直しました。

 

きのう何食べた?」は日常を描く漫画なんだから登場人物の髪型くらい変わるだろうよと。

ファンタジックな世界の住人じゃあるまいし、何十年も髪型変わらないなんてありえない。髪型がずーっと変わらないことこそ逆に非日常的だろうと……。

この漫画の登場人物は日常を生きているんだから、当たり前のことなんて当たり前に起きるよ。

そんなふうに言われた気がしました。

日常を描いているからこそ当然変化があって……髪型だから妙に目についてしまうけれど、きのう何食べた?」はずっと「変化する日常」を描いていたじゃないか……とこの漫画の根幹を再確認できるエピソードだと思いました。

 

親が肺がんになったって、お友達に孫が生まれたって、ちょっとハゲ始めたって、それでも生活は続いていく。当たり前のように変化していく。

最初は「当たり前」だと感じられないかもしれない。けれど、時間が経つといつの間にか当たり前になってくよ……と。

ちょっと抽象的な感じになってしまいましたが、そんな「生活が続いていくこと」「生活が続くということは変化するということ」を再認識できた巻だったなーと思いました。

10巻はすごく「変化」を感じ取れる1冊だったと思いました。

 

 

まあでも金髪にしたのって……本当のところはパーマとベタを省略する為……いやなんでもない。

 

 

このふたつの話以外にも、全部面白かったですねー。

特にパンケーキの回は「くそ、おっさん四人がキャッキャウフフと騒いでるだけなのに楽しそうでニヤついちゃうじゃねえか……」と歯噛みしつつも楽しんでしまいました。

ジルベールは本当にいいキャラだなあ……。

7巻でのノルウェイの森を引き合いに出してのワガママが凄く気に入っています。一度は言われてみたいワガママですね。

 

きのう何食べた?に登場する女性は美しい

それにしても志乃さんや大先生や佳代子さんなど、この作品に登場する女性はたくましくて素敵だなあ。

ほんと見ていて惚れ惚れするよ。みんな快活に大切にしたいものを尊重する生活を送っている。女性のほうが逞しいって話はよく聞くけれど、本当にそうだと思うよ。

僕は美しい人というのはこういう人のことだと思うのです。大先生とか本当に美しい。きっとうなぎで散財しちゃったことを後日ちょっとだけ後悔するんだよ……そんなところが地に足がついてて、人間味があって……素敵じゃあないですか。

 

 

11巻は11月20日発売

 

感想書きました!

よしながふみ先生好きな方で、こちらを読んでないって人いませんか?

愛がなくても喰ってゆけます。
 

だとしたらもったいない!! かなり!!!

 

これを読むと「よしなが先生はほんと食べること好きなんだな」と再認識します。

登場人物の食事中の小気味よいやりとりが実によしなが節です。普段からこういう会話しているから「きのう何食べた?」が生まれるのだろうなあと思います。

是非読んでみてください! この作品の感想はこちらから。

 

 

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