読者には誤読の権利がある

だから勘違いした感想書いてても許してほしい

豊島祭り「青空チェリー・初恋素描帖・豊島ミホ・感想」

 

最近豊島ミホ先生の作品を再読しているので感想書きますー。

 

青空チェリー

青空チェリー (新潮文庫)

青空チェリー (新潮文庫)

 

この本はたしか大学のとき読んだのかな? 最近また読みました。

 

「ハニィ、空が灼けているよ」が本当に素晴らしい。

戦争ものとしては素晴らしいものは他にもたくさんあるとは思うのだが、他の戦争ものにはない退廃的なものがこの作品にはあると思う。

特に戦争に行くことを拒否してからの色みの抜け具合がもの凄く好き。

作品の纏っている空気がじわじわ変わっていく様がものすごく良かった。

最初はきらびやかな情景が広がっているのに、どんどんと作中から色が抜けていく感じがした。

周りに色味がなくなっていくなかで、どんどんと燃え上がっていくふたりの感情の対比が素晴らしい。

そしてそれがピークに達したときに燃え上がった空の風景。

ものすごく頭にこびりつくようだった。良い。

 

ハニィ、ダーリンと呼称を限定しないことで、「誰」でもなくしたことで感情移入が容易になったのを感じた。序盤は呼称によるバカバカしさを楽しんでいたが、どんどんとそれが慈しみに変わっていったことが印象的でした。

 

「青空チェリー」は荒削りな文章の中から溢れ出るリビドーがたまらなかった。ハニィ(略)との温度差に笑ってしまった。これを高校生のときに読んでいたらどう思ったのだろうか。嫉妬に狂っていたのではないだろうか。

 

「誓いじゃないけど僕は思った」はちょっと冷静な感じで読めなかった。昔の想い人の思い出をあらゆるところで投写してしまう性質というのは、僕にも憶えがある。

こういう感じって誰にでも多かれ少なかれあると思うのですが、この物語は小学生中学生のときに届きそうで届かなかった、むしろ届いていたのになぜか手放してしまった恋がある人に強く作用する気がします。

僕は昔好きだった人が結婚してたら死ぬほど落ち込みそうだ。勢いで物語を紡ぎそうなくらいに落ち込みそうだ……。

もう意味もないのに残っているアドレスとか手紙とか……ありますよね。

叶った恋よりも叶わなかった恋のほうが人格形成に強く影響する気がします。

 

 

 初恋素描帖

初恋素描帖 (MF文庫ダ・ヴィンチ)

初恋素描帖 (MF文庫ダ・ヴィンチ)

 

文庫版のほうが表紙がいいですね。キャラがクラスで生きてる感がある。

この本は青臭くて凄く好きです。まだまだ僕が子供なんでしょうか。読んでいると自分の思い出を想起してしまうことが多かった。

クラスメイトがどこかで関与していて、僕の知らないところで知らない物語を描いている……こういう群像劇はものすごく好みです。チュンソフト「街」とか。

 

ただ読んでいる最中に「あれ? こいつ誰だっけ?」となることが多かったです。

そんで目次を読み返したり、登場してきた人のエピソードを読み返しているうちにクラスメイトの名前を覚えていくあたりがリアルでした。

やっぱりクラスでも目立つ人は作品内での登場回数も多くて、早めに覚えていくことが多いですね。リアルだなー。クラスで目立つ人間が起こしたアクションが波及していく様がものすごくリアル。

強く記憶に残るのは目立つ人の目立つアクションだけれど、心にじわりと染みるのは地味な人達がふと発した一言……だったりするのがまた粋な演出というか。

実際の自分が学校でどのポジションにいたかで、感情移入できる人が変わるのも面白い。僕はやっぱり目立たない人に同調してしまうな……。

 

作品としては「あの頃」を見事にプレイバックしている作品だと思います。

今思い返すと、男女30人前後のぐちゃぐちゃになった思惑が、あんな小さい部屋に閉じ込められていると考えると異質だな。

いやむしろ異形だな。あるべき形ではないような気さえする。

あそこはもはや上手に生きる為の術を身につける為の訓練所なんじゃないか、と在学中に思ったこととかを思い出しました。

ここでは永遠に誰かが「たしたり、ひいたり、かけたり、わったり」の四則計算を繰り返すんだろうなと。

どんな漢字を当てはめるかはその人次第なんだけど……とか思っていたことを思い出しました。

 

あとふと感じたことなのですが……作品を読んでいる間、頭の中で鳴り続けている曲がありまして……。

 

誰が誰と名字じゃなく名前で呼び合うような仲になったって話は聞き飽きました

各地で主役とマドンナの逸話が繰り広げられている。

 Base Ball Bear「BOY MEET GIRL」という曲の歌詞の一部なのですが、

まさにこの感じだな、と。この本はまさにこの曲の感じだな、と。

 

青春白書がまだ思い出ライブラリーに蔵書されない人が描いた物語が、初恋素描帖なんじゃないかと思います。

 

あと、最後の漫才コンテストに出たふたりは、いにお先生の「うみべの女の子」に似たような感じが出てきますよね。いにお先生はこれを元にしたのかな……とか思ってました。キャラの見た目とストーリーラインが妙に似てる。

 

 

同じようなニュアンスの作品としては

桐島、部活やめるってよ (集英社文庫)

桐島、部活やめるってよ (集英社文庫)

 

やっぱりこれかなあ……。

物語の骨子は違うのですが、含む空気が同じな気がします。それにしても僕は桐島をブログで薦めすぎだ。

誰かのアクションが波紋のように関係ない人にまで影響していく。

学校という狭い空間だからこそ起こりえる事象、というものが僕はやはり好きみたいです。

 

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