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エロスと食事とドラマチック「くうのむところにたべるところ・ヤマシタトモコ・感想」

漫画

 

「くうのむところにたべるところ」を読みました。

 

 ヤマシタトモコ先生に最近絶賛ドハマり中なのですが、この作品もむっちゃ面白かったですね。ヤマシタ節炸裂です。

ヤマシタ先生が描くのは「人と人とが交わったときのドラマ」だと思うのですが、今回も例に漏れず。

そのドラマの中でも、今回は食事をコンセプトに掲げたという感じでしょうか。

食事をコンセプトにといっても、まったくもってグルメ漫画ではございません。それを目的に買うとなんら充足感がないまま読み終わるでしょう。

じゃあこの作品はなにを表現しているのか? って話ですが……。

 

食とエロスは近い場所にいる

この作品を読むと食とエロはとても近い存在なのかもしれないな……と思いましてね。

「くうのむ~」は日常に介在するエロスを切り取った作品でもあると思うのですがいかがでしょうか。

エロい行動って食事に対するアプローチと似てるというかほぼ同じじゃないですか。食べて飲んで、舐めて嗅いで、最後には満足感が得られる。得られないとフラストレーションが溜まり、それらを解消するために次のアクションを起こす。

そう思うと、エロと食事はよく似ているなーと思うわけです。というよりも、日常に潜むもっともエロスを感じられるものが食事なのかもしれない……と思った次第です。

そしてエロに及ぶ際に、なんか前段階として大体食事って存在するよなーとか考え始めると、食とエロの距離は近いな……と思いました。Dish9とかもろにそういう話ですよね。DISH9は食事とエロの話を進行させながら、最後にはしょーもないオチをつけるのが非常に好みです。

 

まあ全体の中では別に食事とエロの話じゃないのもありましたけれど、それでもヤマシタトモコ先生の筆致とセンスが交わると、クスっと笑えて心地よい読後感があるのが素晴らしい。

 

小気味よい会話と着眼点の素晴らしさ

しかしこの漫画、内容がいい感じに浅い。踏み込もうと思えばグッと踏み込める内容なのに言葉足らず気味で終わらせてくる。

その効果かはわからないが、読んでいる間に様々な思索をしてしまった。

僕は内容が現実にフィードバックする作品こそが至高、だと常々思っていて、dish2を読んだときの「わかる!」を引き起こされ、現実で更なる妄想を繰り広げてしまったときに「あーもう名作だなこれ」と思いましたね。

 

白眉はやはりdish10とdish13ですね。

dish10は特にエロと食事という点において非常にわかりやすく描かれているなあと思います。食事とエロの間の距離って結構短いよね、を実感する。

なにひとつロマンチックじゃないのに、なぜかラストのシーンにロマンを感じるし、いつか真似してみたいと思うのは僕だけじゃないはず。

 

そしてdish13が本当に素晴らしいですね。

非常に素敵な雰囲気の会話劇ですね。漫才みたい。こういった手法はよくあると言えばあるのですが、ヤマシタトモコ先生が描くキャラクターが演じるとこれがまあ雰囲気出ますよね。その対比の中での腹の探りあいがもう巧妙でね……最高でした。

話の中に登場する食べ物がまたそれを増長させていましたね。やはり僕らは「ウィスキーとかカカオ80%のチョコ」とかには高貴でちょっとしたハイソサエティ臭を感じるし、「青汁とか牛乳」とかには庶民臭を感じるのだなあ……と食べ物と人が結びついたときの関係性の面白さを再確認しました。

 

まとめ

誰かとの食事をするとドラマが生まれる。そんな当たり前のことを再認識するような作品だったと思います。面白い人と面白い人が関われば当たり前のように面白いことが起きるんだよな……と。

そしてこの本の根幹はやはり

「食事は食べてみないとわからないし、人は関わってみないとわからない」

ということではないでしょうか。

傍目からではプロシュートを眺めている男がなにを考えているかはわからないし、レズカップルがなにに嫉妬してなにを好むかなんて窺い知れない、老夫婦の会話劇なんてそれの最たるものですよね。

そんな当たり前を下敷きとした中で「関わる」からこそ生まれる面白さ、それを変哲な視点で巧妙に切り取れるヤマシタ先生やっぱり最高やで……と再認識できる作品でした。

 

次はこのあたりを攻めたいかなと思っています。

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他にもヤマシタ先生の感想書いています

 

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