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100%賞賛されるものなんてない「オトノバ・河上大志郎・感想」

漫画

 

オトノバを読みました

オトノバ(1) (ヤンマガKCスペシャル)

オトノバ(1) (ヤンマガKCスペシャル)

 

いわゆるバンドマンストーリーですね。

BECKという音楽漫画の大巨頭がいるなかで、純粋なバンドマン物語を描くのは結構難しいんだろうな……と思っていたところに登場したのがこのオトノバ。

ストーリーはクラスで疎まれがちな世界一のアーティストを目指す少年が、ある男への対抗心でバンドを組んで文化祭の出場を目指す……というもの。

 

 伊藤たかみの「ぎぶそん」を彷彿とさせるような物語ですね。

ぎぶそん (ポプラ文庫ピュアフル)

ぎぶそん (ポプラ文庫ピュアフル)

 

 

バンドマンに向けた作品

読んでいて思ったのですが、この作品ってバンドやってた人が一番面白いのかもな……と思いました。

僕もそれなりにバンド活動をしていたのですが、「バンドマンあるある」とか「音楽やってる人あるある」が散見されて面白かったです。

この巻だと「生徒会長が初めてコピーした曲」の件とか、バンドやってた人なら思わず頷いてしまうところ。

バンドマンならば一度は妄想したり考えてしまうシチュエーションや考え方を紙面に落とし込めているなあと、読んでいてニヤニヤしつつ若干恥ずかしい気持ちを思い出したりもしました。

 

 

でも逆に言えば、バンドやってた人が一番嫌いになりそうな作品にもなりえるわけですよね……。

こういった「わかるわかる」の描写が鼻につくことだってありえるわけで。

どの題材でも描けばその界隈に属する人達からなんらかの評価はされると思うのですが、バンドマン界隈ってそういうあたりがやたらと厳しい気がする。

音楽自体に良い悪いの定義があまり明確になされていないのもありますし、最強の言葉「これBECKじゃん」があるので、貶めやすいんですよね。

実際のところ僕自身も、このオトノバを読んでいたときにベックの匂いを感じずにはいられませんでした。

 

でもこの作品はそれをわかったうえで、音楽大好きな人が書いた、音楽大好きな人に向けた作品であり、そこに真っ向から挑んでいるところがとても素晴らしいと思います。

作中の言葉を借りるならば「100%賞賛されるものなんてない。数学みたいに正解があるわけじゃねーんだろ? もーちょい気楽にやれよ」という言葉。

これは主人公が音楽に対する気負いをみせたシーンで旧友が言った言葉ですが、この漫画自体もそういう心構えのもと描いているのかなと思いました。

BECKという巨大な存在があるジャンルの中で、どう戦っていくのか? という問いに対しての答えを明示しているのかな……とも思いました。

きっと普通に音楽好きで、BECKや他のバンド作品と被ってても描きたかった(というかある意味これしか描きたくなかった?)のだろうなと思いました。

 

作中でも作者が常日頃から考えていたんだろうなあ……という怒りをキャラが代弁しているようなシーンがあり、読んでいると「音楽好きなんだろうな」っていうのが随所から滲み出てるんですよね。BUMPを始めとしたバンドの小ネタも多いですし。僕はなんだかんだ楽しんで読めました。

 

だからこそ、この作品は音楽をやってない人に届くのかな? と思ったりもしました。

僕には予め音楽的な知識がそれなりに備わっているので、作中で出てくる音楽用語は大体わかります。しかし、当然ながら音楽をやってない人にはなんら訳の分からない言葉が飛び交うわけで……これどうなんだろう? と思ったりもしたんですね。

もうこのあたりは客観的に読むことができないので、判断はつきませんが……かなり音楽やっている人間向けに書かれた内向的な物語に見えなくもないです。

作劇内容を「バンド」に寄せると、バンドに興味ない人にとっては面白くない話でしかなくなるというのも難しいところ。そういった面を危惧してか、ベックも最初はあんまり音楽やらなかったですしね。

 

続きもあるなら読みたいなあ……と思うのですが、雑誌のほうではもう終わっているみたいですね。バンド漫画は基本的に短命なんだなあ……。

 

 

まとめ

絵も凄く上手いし、会話劇もテンポがいいので個人的には凄く好みなんですけれどね……やっぱりBECKの後だとバンドものって既視感が拭えないんですよね。逆ベクトルで描くとなると「けいおん!」がいるし、ギャグでいくとDMCがいるし。

ワンピースがある現在で海賊ものを描こうとする人間がいないように、バンドものってもう難しいのかな……と思いますね。

ベックは本当に夢があった。「ねーよ」と嘲笑う人達もどこかで期待してしまうようなビッグドリームがあの漫画には潜んでいたなあ……と改めてあの漫画の偉大さに気付かされました。

BECK(34) <完> (KCデラックス 月刊少年マガジン)

BECK(34) <完> (KCデラックス 月刊少年マガジン)

 

バンドものって描くの難しいんだろうなあ……。なによりギターとか描くのがクソほどにめんどくさいんだろうなあ……。

 

バンドの漫画だったらこっちも僕は好きですね。

GOーON! 1 (ヤングサンデーコミックス)

GOーON! 1 (ヤングサンデーコミックス)

 

こちらのほうがBECKの匂いを非常に強く感じるのですが、出てくる曲が非常に好み。

主人公が女の子から貸してもらうCDがWeezerなんですよ。そんなもの好きにならないわけがないでしょ。ズルい。

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