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あの言葉を待っている物語「南極料理人・感想」

映画

 

南極料理人を観ました!!!

南極料理人 [DVD]

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鍵泥棒からの堺さんファンになっちゃったので、彼が出ている作品をいろいろ観ている段階です。

 

未視聴の方への要約

これから観る方はお腹を減らしてご覧になるとよいでしょう。

食い物が美味そうです。ヨダレが出てきます。

部屋を寒くして見るといいでしょう。より作中の雰囲気が味わえます。

 

感想

飯の食べ方で大勢いるキャラの性格を説明しきる手法は、三谷幸喜さんの「12人の優しい日本人」でも用いられていますが(こちらは注文の仕方など)、序盤の掴みは素晴らしい。

1キャラ10秒で「あ、この人はこういう人なんだな……」という外殻を説明したうえに、ニシムラ(堺)が現在置かれている状況と「なにに不満を抱いているのか」が説明されている。これは素晴らしい。

 

内容ですが……まさかこんなに笑わせてくれるとは思いませんでした。

南極での暮らしでの愉快だった部分を上手に掬いあげて、観ている人に「なんかいいな」という感情を与えてくれる作品。実際はもっと半端なくしんどいこともあるとは思うんですけれども、この作品の全体的に常に愉快な空気を纏っている。

時間経過と共に楽しかったあの空間が崩れる瞬間があるんですけれど、そういう絶望をあんまり描かずに一端だけ留めて、あくまで愉快な雰囲気を崩さないようにしている努力が垣間見えます。

しかもその絶望的な瞬間も「バターが食べたい」とか「ラーメン食べたい」とかそういうちょっとバカバカしい理由。でも閉鎖された空間だとそういった些事ですら、大きな事件になってしまうんですよーというのも、この舞台だからこその面白さかなと思います。

 

この映画は「南極で何百日も滞在? 絶対しんどいだろ……」という視聴前の印象を上手に崩すことに成功していると思います。

「しんどいことばかりでもなかったんですよ」という思いが込められていると思うし、僕は観ている間「なんか楽しそうだな」という思いになった。

あんまり嫌味な雰囲気にならないような展開にしてある。これは監督の沖田修一さん、いい仕事だと思います。

 

南極料理人が描いているのは、非常にシンプルな概念。

「美味しそうな食事がでたら「美味い」と思う」ということと、人が和気あいあいとアホなことをしていたら「楽しそうだ」と思う心情。

このふたつをあえてクリティカルな言葉を使わずに、画面内の行動や間で表現している。

この押し付けがましくなさがこの映画の肝だと思います。あくまで視聴者は視聴者の距離感でこの映画を観ることができる。

 

個人的にグッときたシーンは、モトさんの誕生日のときの、モトさんの奥さんに南極に行くことを反対されたシーン。「これ以上、子供を放っておくなら覚悟がある」と言われたことを思い出しながら言った言葉。

「やりたい仕事がここでしかできないだけなんだけどね」

という台詞。これは個人的な自分の境遇を顧みて、すごく良かった。

 

それに加え、もうワンシーン。

院生くんの電話が時間経過と共におざなりになっていくところ。必死に話題を引きずり出そうとするけど、相手に「別に」とか「普通」とか言われるところ。

なんで一生懸命仕事がんばってるやつを待ってあげないのか!? っていうね。もう僕も個人的に怒ってましたよ。僕は個人的に単身赴任にキレる人とか理解ができない人間なので、「はよ別れろ。そんな女捨ててしまえ」と思ってましたね。君はいい男だから他にもっといい彼女できるよ!! と思ってましたね。

 

ラストカットがこの映画の全て

そして一番素晴らしいのは、最後のカット。あれはもう最高!

序盤のニシムラの不満をここで回収するのか! と思いましたね。

なにより、このオチを理解させる為の序盤からの流れが秀逸でした。最後のシーンで回収されて気づきましたけれど、自然と僕もニシムラと同じ気持ちになっていたんですよね。「いつ言ってくれるのかな……」と焦らされている気持ちになるんですね。ヤキモキしてしまう。フラストレーションが凄い。

それで最後のあのカットに台詞ですよ。いやー、うん最高。最後のあの台詞で靄がぶわっと晴れた感じがします。そこまでの流れづくりに脱帽です。

 

めっちゃいい映画でした。これは次の冬になるたびに観たくなる映画ですね。買おうかな、といま悩んでます。

 

面白南極料理人 (新潮文庫)

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 原作も読んでみようかと思います。

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