読者には誤読の権利がある

だから勘違いした感想書いてても許してほしい

過去を悔やむなかれ「銀の匙・12巻感想」

 

銀の匙12巻を読みました。

銀の匙 Silver Spoon 12 (少年サンデーコミックス)

銀の匙 Silver Spoon 12 (少年サンデーコミックス)

 

 銀の匙は読むたびに心揺さぶられる。ハガレンもそうだったけど、荒川先生の描く世界の人間は善にしろ悪にしろ強烈に活きてるキャラクターが多い。

だから読んでいると自然と心を揺さぶられる。

巻を増すごとに、その揺さぶりは強くなっている気がする。

 

僕の高校生活がゴミクズにみえてくる、けど

この巻に限らず、銀の匙全体に言えることだけれど、この漫画はとにかく登場人物がキラッキラしてる。先ほどの言ったみたいに「活きてる」と言い換えてもいい。

「俺達リア充してるぜーウェーイ」っていうわかりやすい光じゃなくて、弱々しいくて今にも消えそうなんだけど、やすやすと直視できないタイプの光をキャラが発している。

覚悟なしに見つめれば、目が潰れてしまいそうなくらい輝いている。

 

それぞれの人物がそれぞれの目標に向かって全力を出している姿をみていると、非常に清々しい。読んでいて爽快感がある。

12巻はそれが更に加速しているように思えた。

八軒や御影だけでなく、駒場や吉野や大川先輩、南九条までもが前に進む為に「選択」をし「努力」を重ねていく。

こういった姿をみると、清々しい気持ちになる。やはり前向きな作品は好きだ。

 

しかし一方で「ええっ……こいつらすごすぎるよ……僕が高校生のときなんてそんな立派な考え方できなかったよ……」とも思えてくる。

11巻までにあった「受験の悩み」や「やりたいことがない悩み」などは強く共感できたが、ここまでくると置いてけぼりにされているのを感じずにはいられない。

僕が高校生のころは、本当に頭が悪くて、ここまで将来のことを真面目に考えたことなんてなかった。やりたいことはあったけど、それに対して具体的で的確な行動を起こせた自信もない。

努力をしていたか? 恐れず選択ができたか? と問われば口を噤んでしまう。

銀の匙を読んでいると、キラキラした八軒達を好ましく思う一方で、非情に強い劣等感に苛まれることがある。

いままで横に並んでいた人達がいつの間にか前に進んでしまって、取り残された気分に陥る。「置いてかないでくれ」とすがったところで、どうしようもない。

 

「僕にはもうこんな時間は戻ってこなくて、なにをしたところで遅いんだ」

読んでいると、僕はいつもそんな気持ちになってしまう。過ごした時間は戻ってこない。過去に無駄にした時間を思い起こして、何物にもなれていない自分を思い出して、僕は絶望してしまう。

強く悔やむ。僕もこんなふうに頑張っていれば……と過去を強く悔やんでしまう。

こんなキラキラとした希望を目の当たりにし続けるのは正直辛くなってしまって、何度か読む手が止まった。

もう今更彼らみたいになにかをすることなんてできないのだろう。

 

けど「きっとそんなこともないんだよな」と思えた。

まだ手遅れになっていることなんてないんだよな……と思えた。

 

僕が12巻で一番強く印象に残ったのはこのシーン。

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大人になってしまった僕だからこそ、このシーンが響くようになったのだろう。

「まだ遅くないよ」というメッセージを大人になった僕にも響くように物語を描いてくれた荒川先生には感謝しかない。ホント。

銀の匙は大人がちゃんと「大人」としての役割を果たしていた漫画でした。

それを踏まえた上で更に大人達も前に進んでいくこのシーンがあることで、僕は更にこの漫画を好きになることができた。

なんだよそれ綺麗事なうえに理想論じゃないか、と言われてしまえばその通りだろう。

しかし、それのなにが悪いと僕は思ったわけだ。

過去を悔やんでいる時間があるなら、もっと前に進むべきだろ。高校生にもわかることを今更再確認してんじゃねえよ……と思った。

この富士先生の言葉は深く心に刺さりましたね。

過去を悔やんだってしょうがないんですよ。ほんと、しょうがないんです。

そんな感じでいい意味で諦めることができました。

そしてほんの少しだけ前を向くことができそうです。

 

銀の匙には「強い肯定力」がある

八軒の言った「人の夢を否定しない人間に、俺はなりたい」というのは、この漫画全体が主張する大きなテーマなのだと思います。

銀の匙の世界では人の「夢や願望」を決して否定しない。強く肯定してくれる。

人が本気で成し遂げたいことを、本気で応援してバックアップする。そんな世界ができあがっている。土地柄もあるとは思いますが、人と人との結びつきが強い。

誰一人として夢を追いかけることに手を抜かないし、応援する人も全力で応援する。誰もが前向きで、誰もが理想を掲げて生きている。

キャラクターから溢れ出る生命力が凄まじい漫画だ。

凄まじい生命力をもったキャラが、凄まじい生命力を全力で駆使して「やれるかわからないけれどやってみようぜ!」と活動する。それを周りが賛同してくれる。

彼らのその動きが「キミがやろとしていることは間違っていない」というメッセージになっているのではないかと僕は思う。

そんな彼らを観ていて触発されないわけがない。

だからきっと、僕は銀の匙を読んだ後はやる気に満ち溢れているのだろう。

 

悲しいことに僕には特別な才能はなくて、なにか誇れるようなものもなくて、人よりもずっと劣っているような人間だけど……「僕にもまだやれることはあるはずだ」と思えた。思えてしまった。

ひたすらに邁進し続けるエゾノー学生をみて、そう思えた。

読んでいる人間にそう思わせるだけの力が、この漫画にはあると思う。

 

まとめ

さて、ここから少し客観的に銀の匙を振り返ります。

荒川先生の魅力のひとつにエンタメと真面目のバランス配分のよさ、というのがあると思うのですが、今回はいささか真面目成分多めですかね。

最後の異様な駆け足をどうとるかによって評価が分かれそうですし、それが誰の意図によるものなのかはわかりませんが……僕はアリだと思います。

これ以上、深く農業や起業のことを描きすぎると「少年漫画」ではいられなくなると思いますし、これはこれでよいと思いますね。

大川先輩が物語に深く参入して、深みが出つつも彼のテンポ感の良さで、物語がドライブしていくさまも個人的には好きです。流れがはやすぎるよーと思われる方もいるかもしれませんが……。

 

農業関連に関してはこちらの百姓貴族のほうでやってくれればいいや……という気持ちのほうが強いですね。

あくまで銀の匙は「人の物語」であってほしい。

百姓貴族 (1) (ウィングス・コミックス)

百姓貴族 (1) (ウィングス・コミックス)

 

 こっちのほうがよりディープな話をしていて僕は好みです。

これを読むと、荒川先生の凄さを実感します。特に3巻。

 

もっと踏み込んだ感想が書けるようになりたいなあ……。

せっかくブログをやっているのだから、感想を書く以外にもいろんなことがしてみたいです。これからいろんなことに首を突っ込んでいきたいと思います。

なんかおもしろいことしよーぜ。

これからはいくらでも恥ずかしいことも書いていくぜー。吹っ切れた!

時間がなければ寝なければいいじゃない、という荒川理論を土台にして頑張るぞい。

銀の匙 Silver Spoon 13 (少年サンデーコミックス)

銀の匙 Silver Spoon 13 (少年サンデーコミックス)

 

 

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