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英雄の英雄譚「アイアムアヒーロー1~5巻・感想」

漫画

 

アイアムアヒーローを5巻まで読みました。

アイアムアヒーロー 1 (ビッグコミックス)

アイアムアヒーロー 1 (ビッグコミックス)

 

なぜこの時期にアイアムアヒーロー? そしてなぜ5巻まで?

と疑問に思うかもしれませんが、至極単純な理由として5巻まで病院に置いてあったんですよね。で、入院中に読んだというわけです。

一度しか通読していないので、ちょっと感想が甘いかもしれませんが、読んで感じたことを素直に書いていきたいと思います。病院でさらっとメモはしたので、それを見ながら書いていこうかと思います。

まずは1巻から。

 

1巻はちょっと文句のつけどころを探すほうが難しい出来。

これはちょっと凄いなあ……と感嘆してしまった。そりゃ話題にもなるよなあ、と当時この漫画が出始めたころを思い返した。

序盤のダルい日常描写はこれからくる混乱を引き立てる為の重要な要素になっている。平和の基盤をしっかり作ってあるからこそ、崩壊したときその悲壮感や絶望感が増す。

 

「これから漫画家かとしてどう変化していく? 大成するのか? それともクズのままなのか?」という期待を読者にさせていながらの、最後のヒキはもう素晴らしいという他ない。ヒキでありながら、1巻のヤマにもなっているという素晴らしさ。

美しく上昇線を描いて、最後にマックスに達する物語の描き方は口でいうほど簡単じゃない。

英雄の過ごす生活はあまりにもリアルで、恋人とのクソ甘ったるい生活も予定調和的な奮起の仕方も、全て崩壊を前提としたものだと認識すると退屈に感じない。

 

途中の不穏な空気も一切の説明を入れずに、英雄も1日すると忘れている。

それもまた嫌にリアルだった。日常を描くことに完璧に成功している。

 

35歳だからこそ抱く葛藤があまりにも自分で想像できてしまって怖い。昔だったら笑い飛ばしていたのかもしれないけれど、今は笑えない自分がいる。

「もはやこのまま日常漫画してほしい」と思わせるのも狙いだと思う。

 

「呼んでもないのに現れる」のはゾンビも明日も同じだと思う。

これはその不条理感に怯える漫画だ。

 

それにしても絵が怖い。僕は金田一少年の事件簿の道化のピエロとか放課後の魔術師とかで号泣した過去があるので、怖い絵は苦手なのです。

 

 2巻

アイアムアヒーロー 2 (ビッグコミックス)

アイアムアヒーロー 2 (ビッグコミックス)

 

表紙のこの子誰だったんだろ? となった2巻。

 

事態が深刻化しているのに、異様に冷静な主人公がまたリアルというか……状況を一ミリも飲み込めてないからこそ取り乱しようもないところに、自分もそこに遭遇したら「そうなるのかもな……」と思わせる凄みがある。

漫画は一瞬でも納得させられたら読者の負けなのである。

まあ些か冷静すぎる気もするが、おそらくただでさえスローリーなストーリー展開になることをこの段階で予測しており、ここで英雄のパニックとかさせてるとなかなか話が進まないからこうしたのだろう。

パニックするのはモブでいい。

パニックの状況下でモブとは違うことができるのが主人公になれるかなれないかの瀬戸際なのだろう。

 

そしてここで猟銃を持っていることにやっと気づく。

こういう些細なことで混乱していることを表現するのは上手いですね。

そして……主人公が「武器」をもっている。誰ももっていない「武器」をもっている。そこがこの巻の肝なのではないかと思った。

どのRPGでも漫画でもそうだ。主人公は必ず危機的状況で武器をもっている。

 

舞台が整ってしまったのである。

閉鎖的空間。パンデモニウム。恋人の喪失。武器の所持。

主人公になる為の要素が英雄の望む望まないを無視して、整ってしまった。

 

……それにしたって電車内の人達は冷静すぎるなあ。ここまでクズが詰め込まれた電車もあんまりない気がするんだけどなあ……まあそれは漫画的表現にしても、外があの状況下だったら電車も普通稼働しないし、誰かパニックになっててもおかしくないと思うんだけどなあ……ここはやや不自然かな。

 

そしてここにきて罪の意識を考える主人公もそれはそれでちょっと狂ってて怖い。

 

3巻

アイアムアヒーロー 3 (ビッグコミックス)

アイアムアヒーロー 3 (ビッグコミックス)

 

 駅から出るときやお金を律儀に払ったりして、世界の秩序を保とうとする英雄に違和感……というより軽い狂気を感じた。持ち物の整理をする、という目的もあるのでしょうけど、それでも強烈な違和感だなあ。

まあ小心者で平和主義っていう彼のキャラがよく現れていると思います。上手いんだけど、違和感がある……これは後々回収されたりするのかな?

 

展開が遅いなあ……やっと2巻表紙の子が登場。

しかしこの修学旅行生ものんびりとしたもんだな。事態がヤバすぎてニュースが伝わらないなんてことあるのか? どう考えても誰かしら察知したり気づいたりしそうなもんだけど……僻地すぎて気づかないとかさすがにないだろ。

修学旅行先なんてある程度は整理された場所だろうし……うーんこういう細かい違和感があると素直に漫画が読めなくなる。

なんによせよヒロインの登場でさらに「主人公」としての舞台が整う。

 

ひとりうずくまって海辺や宇宙で孤独を感じながら世界が変わっていくシーン。

これもっと何ページもやりたかったんだろうなあ……と想像。

あと4シーンくらいあると説得力が増すんだろうけどね。たぶん許してもらえなかったんだろう。ここ良いシーンなのになあ、もったいない。

 

4巻

アイアムアヒーロー 4 (ビッグコミックス)

アイアムアヒーロー 4 (ビッグコミックス)

 

 

「ヒーローなんでしょ?」

「はいっ」

 

このシーンいいね。

主人公を放棄しそうになったところをギリギリで踏みとどまった。

銃を撃つことを放棄したら、一瞬でモブと化していたことだろう。

英雄はまだ主人公ではないし、英雄(えいゆう)でもない。しかしここで銃を手放すことはそうなる素質やチャンスすらも手放すことと同義である。

ギリギリで誇りを手放すことのなかった彼の選択はめちゃくちゃグッときた。

銃は主人公としてのアイコンなんだろうな、と思った。あれがないと英雄はモブになってしまう……そんな気がした。

逆にいえば銃がないのに主人公になれたときが、彼が真の英雄になったときなのではないかと思った。

 

新たな事実がどんどんと登場し、話がドライブしていきそうな予感が……しません。

本当にこの漫画は遅々としてますね。いやゾンビ黙示録なんて大抵スローリーだし、逐一動きを描かないと「あれどうなったんだよ」という無粋なツッコミもきちゃうから気持ちはわかるんですけど……いやいや今更ゾンビの脅威とか見せられてもさあ、とか思っちゃう感じはしますね。

 

5巻

アイアムアヒーロー 5 (ビッグコミックス)

アイアムアヒーロー 5 (ビッグコミックス)

 

 

この巻で確信したのは、

この漫画は英雄(ひでお)が英雄(ヒーロー)になる為の物語なんだなと。

ただのゾンビ漫画ではなく、英雄譚なんだなと確信。

その舞台にゾンビが現れただけで、どんな脅威が現れようとこの漫画は英雄の英雄譚になるんだろうと思った。

 

さて非常に風刺的なシーンがありましたね。富士山に登っていく民衆のシーン。

確かなソースもなく聞きかじった情報だけで動く日本人への痛烈な皮肉なんだろうなあと思いました。まあこういうのは受け手の問題なので、個人的には漫画内で説教されてもな……と思ったりもするのですが。

まあ、実際のところこういう人達は存在しているわけで、こういう人達が現在の状況に置かれた場合、こういう行動をとるだろうという想定として描いてるわけですよね。

バッチリだと思います。完璧だと思います。

「とりあえず」富士山の五合目に行っちゃう人多いんだろうな、と思った。自分も含め、混乱したり感情が高ぶったりしてると判断力鈍るからね。

さすがにこの漫画、モブがアホすぎるだろと思うことも多いですけどね。

ここまでの事態になっているのに、どこかそれ対して他人ごとな一般ピーポーを表現したかったのでしょうが、あまりにもフィクション的すぎる。

実際のところここまで非情な人間が一箇所に集まるってあんまりない気がするけどなあ……それとも非情な人間だからこそ「この段階まで」生き残れたという揶揄でもあるのだろうか……と考えてしまいますね。

 

でもさすがにちょっとうーん、まあ萎えるなあ……って場面が多くなってきたかな。

 

まとめ

割と面白かったです。特に1巻の流れは秀逸で、1巻だけは所持したいなと思えるほどでした。

けどまあ続きを読んでいる分には、正直続きはあんまり気にならないなあって感じですね。僕自身がパニックものがそんなに好きじゃないってのもありますし、単純に進みが遅いので完結してから読めばいいやと思ってしまう作品でもある。

それほど食指は伸びませんね。

続きが手元にあれば読むけれど、自分でわざわざ買いにいくほどでもない感じですね。

それともこの後から大々的に面白くなったりするのでしょうか。

まあとりあえず思ったことは、

 

これ病院に置いていい漫画じゃないな

 

ってことですね。

ボーイズ・オン・ザ・ラン 全10巻完結セット (ビッグコミックス)

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 僕はこっちのほうが好きかな。

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