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踏みしめる物語「IPPO1巻・感想」

漫画

最近、毎日のように漫画を読んでいる気がする。

けれどそれが血肉になっている感じがまったくしないのはなんでだろう? と思ったりもする日々です。

人生観を変えられたり、生活を木っ端微塵にさせてしまうような作品をインプットできるのは、もう十代の間だけなんだろうかと思うことが時々あります。

それ以後は人格が形成されてしまい、結局のところただのエンタメとしか消化できなくなってしまうのかもしれない、と考えることが最近凄く多くなりました。

ただ漫画を読んでいるだけ、みたいな状況になったらもうおしまいなんじゃないかとか。消化するためだけに読んでるなら意味ないよな、とか。なんかうじうじ考えることがあります。

 

けど、久々に「うわー」となる作品に出会えました。

IPPO 1 (ヤングジャンプコミックス)

IPPO 1 (ヤングジャンプコミックス)

 

やらなきゃ、というか生きなきゃというか。そういう心に迫ってくるタイプの作品。

恥ずかしながら、えすとえむ先生は「うどんの女 」と「その男、甘党につき」しか読んだことがなかったのですが、この作品は久々にこう……キましたね

 

えすとえむ先生は情感に訴える作品が多いのですが、その表現が非常にスマートなのが好印象な作家。英国的なものが好きなのか、僕が読んだ限りでは語り口も言葉少なめながらも、非常に心をかき乱す言葉が多い。

そして絵で魅せてくる。そのセリフがもっとも似合う絵を限られた情報量で入れてくる見事さに溜息が出た。絵の崩し方が非常に好みなのもそう感じた理由だろう。

そうした情感を表現しつつも、落とすべきところはしっかりと落とすあたりにも技量を感じられた。

 

IPPOは靴職人の話なのですが、靴という題材を通して人間を語る作品です。

主人公は22歳なのですが、それが一番響いた理由でしょうか。

彼は22歳という年齢にも関わらず、しっかりと自立し自分にしかできないことをやっている。しかも誇りをもって。

それに僕は容易く打ちのめされたのです。

22歳、社会人である僕は毎日のように仕事をします。一応クリエイト業なので僕にしか作れない作品を作っています。おそらく誰にも同じものは作れないでしょう。しかしそこには一片の誇りはありません。他の人が作ったほうがいいものが作れるだろう、と何度も思ったことがあります。

多額の給料がもらえればそんな感情も掻き消えるのでしょうか? もらったことないのでわかりませんけど……ただなんとなくそんな気はしません。性格的に。

僕はIPPOの主人公の「生き方」に打ちのめされた。

彼は自分にしかできないことを、淀みなく緩むことなくやってのけ、それで「生活」をしている。そのことが酷く僕の心を乱した。

自分の人生を省みて、なんかこう……思わず黙ってしまったんです。

このまま無為に人生を消費するのはマズイって思ったんです、この本を読んで。

僕らが残せるのは結局のところ、生き様だけだろうと……改めて思い直した。

生きていくことを考えたとき、本当に大切なことはなんだ? と思ったんです。

この本に出会えてよかった。

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僕がいい本だと思うときは、いつだって自分を省みてしまうものばかりだということにここ1年くらいで気づくことができた。

自分を奮起させたり、見なおしたりする感情を呼び起こす本、いろいろと考えこませてしまう本こそがいい本だって思ってる。

そういう感情を押し付けがましく呼び起こそうとしてくる啓発本は僕は大嫌いだけどね。

もちろん笑えて楽しい本だって大好きだ。けど、それだけじゃダメなときだってもちろんあるって話。

 

さて余談。

8月2日はバニーの日だったみたいですね。バニーといえばこの作品を最初に想像しました。

森薫拾遺集 (ビームコミックス)

森薫拾遺集 (ビームコミックス)

 

森さんの描く幻想的な世界観の中で煌めく女性の肉感のある絵が非常に好みです。

バニーコスって有名なわりには実際のところお目にかかったことがない。経験値が低いだけだろうか。

 

 

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