読者には誤読の権利がある

だから勘違いした感想書いてても許してほしい

僕だって朝井リョウになりたかった

 

通勤中って暇だから音楽聴いたり本読んだりしてるのだけれど、最近「朝井リョウ」の作品を読み始めた。

朝井リョウに関しては「桐島、部活やめるってよ」の映画版以外はしばらく触れたことはなかったんだけれども……というより意識的に触れてこないようにしてた節もある。

というより、絶対触れてこなかった。

 

なんでかといいますと、彼って岐阜県出身じゃないですか? 僕もそうなんですよ岐阜県出身なんですよ。

しかも彼って大垣北高校出身じゃないですか? 僕も……ってわけでもなくて、僕は別に北高とは全然関係ない高校出身なんだけども、でも北高は家から徒歩十分もかからない場所にあって、学校行く時に毎日学校の前は通ってたんですよ。自転車で。

北高はあのへんでいったら一番頭がよくて、学校も綺麗だった。僕は学歴コンプとかは特になくてそれに関しては特に興味はなかったんだけど……彼が僕より二個上ってことと、あの周辺に生きていたってことが、彼の才能に触れることを拒んでいたわけですね。

 

僕は悲しいまでに厨二病だった時期があったんですけども……。

自分がなによりも特別になれると信じていた時期があって(まあ、いまでも信じてる節はあるのだけれど)、つまんない大垣って街に住んでいることに嫌気がさしていたんですよね。

だから毎日のようにGEOとBOOKOFFに通って漫画とゲームに浸り、友達とバンド組んでスタジオに入り浸って下手くそなライブしたりと「別世界」に面白いものを求めていたんですよ。

もう僕がどんな悲しい学生だったかなんとなくわかったと思いますけども。

 

きっとあの周辺には面白いものなんてない、と当時の僕は思っていたわけで、あの周辺にないものを求めて僕は創作物の世界に浸ったり、突然東京に出ることを決めたりしていた。

まあ今から思うと典型的な「そんな理由で東京出てきたらアカン」のパターンなんですけれども。

 

なんだかとりとめのない内容になってきたけど、きっと朝井リョウも学校が終わったらあの周辺で遊んでたと思ったんですよ。

あのGEOとBOOKOFF幸楽苑くらいしか行くところのない場所で(いや本当はもっとあるけど、僕がそこにしか行かなかった)遊んでたと思うんですよ。

で、なんでなのかはさっぱり覚えてないですけど、意を決して「桐島、部活やめるってよ」の映画を観てみたんですよ。

運良く作家デビューできただけで、実は面白くないかもとわずかに期待しながら観たんですよ。あの大垣で一番多感な時期を過ごした同じ人間としてそう願ったんですよ。

 

なのになんでお前そんな面白いんだよ。

 

と作品をみた思ったわけで。

あんなクソつまらない街で育った人間なのに、なんでこんなにおもしろいんだよと絶望しましたよ。

もう、ぶっちゃけ泣きましたよ。

そう簡単に映画で泣かない人間なんですが、桐島部活やめるってよ。泣きました。

最後にゾンビとして生徒に襲いかかるシーンとかもうマジでボロ泣きだったんですよ。あそこで感動できる人間こそが、僕と同じ種類の人間だ、という新たな知見すら得られる始末でした。

おすすめです。学校に明確なカーストがあった人。特に僕みたいな上も下も経験した中途半端なやつほどこの映画は突き刺さると思います。

「どうしようもなさ」が映像のなかに立ち込めている。

学生時代のリアルとかそんな安っぽい言葉で済ますにはおしいほどの「人生とはつまるこういうことだ」という念が映像の中にぎっちぎちに詰め込まれている。

 

観終わった後も、同じ出身で同じ街で、だいたい同じような体験をしているはずなのに、なぜここまで明確に差が出ているのかなーと悩むとなんだか彼に強烈な嫌悪感を抱き始めて……早い話が嫉妬ですよね。嫉妬し狂ってましたね

環境が同じなら、もう純粋に才能の差だよなーと当時は感じていてヘコんでいたりしていたわけです。確か20歳とかそれくらいのときじゃないかな?

人が朝井リョウの話してるとイライラしてましたし、実家に帰って大垣北高校の前を通った時に(ほんとうにたまたまだと思うのですが)朝井リョウの名前が掲げられた旗があって、本当にもうどうしようもないくらい落ち込んだりしてた。

彼みたいになりたい。彼みたいな輝かしい人間になってみたい。そう願う日も少なくなかった。と、同時に彼に対して強烈な嫌悪を抱いていた。

朝井リョウになりたかった。

そういうわけで桐島、部活やめるってよ以降しばらくの間彼の作品には触れてこなかったのですが、最近(ってほどでもないけど)彼の作品を凄く読んでいて自分好みな作品だなーと思い直したりしているわけです。

 

まあ今となっては、むしろ朝井リョウは好きな作家になってしまって、地元であることにシンパシーを感じたりもするくらいには僕も大人なれたというか、子供じゃなくなったというか、そんなことどうでもよくなるくらい日々が忙しくなったというか……。

 

で、まあ最近彼の「学生時代にやらなくてもいい20のこと」を読んで、ふとそんな思いを抱いていたなーということを思い出した。あのころのように憤慨してみようかと思ったけど、そんな気は微塵も起こらず、楽しい気分を通勤中に抱かせてもらっている。

学生時代にやらなくてもいい20のことは、朝井リョウのエッセイ集なのでいわばもっとも僕が忌避するべき作品なんだけれど、それでも特に憤ることもなく楽しく読めている。まずタイトルが最高だ。

学生時代にやらなくてもいい20のこと

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桐島、部活やめるってよ(DVD2枚組)

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普通におすすめ。さらっと読めるうえに何度も笑った。時々出てくる岐阜特有の方言や、郷愁を誘うバカっぽさなどが味わえる。

桐島はこころに刺さる。映画部の人たちは凄く音楽に傾倒していた僕みたいで、あのなんともいえず周りの見えてない感じとか……自分たちの作るものに根拠の無い絶対的な自信がある様とかもう最高でした。

しかし「意味がわからない」と評する人もいるのだろうな……と観ながら思いましたね。このシーンを笑ってしまう人もいるのだろうな、と思いながら観ていました。

思わず目を背けたくなるような描写の連続で、観ていると嫌な気持ちになりつづけていたのですが……やはりゾンビ映画を撮るシーン。再三言いますが、あのシーンこそが僕にとっての「救い」になっていると思います。

 

 

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