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Gotchの「Can't be forever young」を聴いて、張り裂けそう

音楽

 

最近、家でも出勤中の電車でもGotchの「Can't be forever young」ばっかり聴いてる。

Can’t Be Forever Young

Can’t Be Forever Young

 

 これがまたすごくいい。作品のジャケットがとにかく気が抜けてていい。スーツで決めてるのに、背景が理容店というのが実にゴッチっぽい。

 

ゴッチが気張らず素で音楽やった作品って感じ。だからこそこちらも気張らずに音楽を聴ける。

アジカンは良くも悪くも聴くときに気合が必要だ。個人的に長年の付き合いというのもある。彼らも真剣に音楽を届けにきているから、こちらも真剣になる必要がある。アジカンの音楽はいつしか僕にとって緊張感をともなう音楽にもなっている。

そういうとゴッチのほうは真剣ではないみたいに聴こえるが、やはりいくらか気楽な感じがする。少し肩の荷をおろしたゴッチが垣間見える。

音楽的喜びはアジカンにもゴッチにも感じるが、こちらのほうが瑞々しさがある。

 

いいと思ったら別にいいじゃん。詰めの甘さすら作品の良さとして放置しようぜって手触りがある。

とにかく瑞々しい。構築を目的とするのではなく、音そのものを楽しんでいるような感触がある。

ふと弾いたフレーズがよかったら、それをもとに曲にしてみようぜーってなって、それがいい曲ならもうそれでいいじゃんっていう思想が曲から垣間見える。

その手法でいい曲書けちゃうゴッチはまあやっぱ作曲家としてレベル高いよなあ。正直日本のモンスターバンドの中では、メロディメーカーとしてダントツに親しみやすい。

それは僕個人の年月によるものがあるけれどね。もう12年の付き合いだ。

 

初めて聴いた手触り的には「サーフブンガクカマクラ」に近い感じがするなあ、と思った。ラフで音楽的推敲を嫌になるほど強いてない感じがする。ラフスケッチのままでもいいじゃないかってのが随所に見える。曲調的には「マジックディスク」が一番近いかな。

マジックディスクをサーフブンガクカマクラを作る気分でつくったアルバム、って感じ。アジカンで比べるのもどうかな、と思ったけどゴッチは紛れも無くアジカンなんだから比べるのはしょうがない。

 

肩肘張らずに聴けるってのは凄く楽だ。自然と何度もアルバム単位でリピートしたり曲単位でリピートしている。

決定的に壮大なラストソングも幕開けの疾走感オープニングソングもないに、ずっと聴きたくなってくる。淀みなく常に身体の中で鳴り続ける感覚。

地味で素朴だけど一生食ってられるみたいな……米というより漬物みたいなアルバムだなあと今思った。今思ったから明日には思ってないかもしれないけど。

 

続きで全曲レビュー。

 

 

 

1.Wonderland

アコギループが気持ちよすぎる。ラップに近いトーキングボーカルがツボすぎる。

ゴッチのツボを集めたらこういう曲になりましたーって感じ。まあソロなんだからそりゃそうなるよなって思った。それが凄く素晴らしい。

「認めてない 認めろ 必死こいて一銭にもならない カネ 貯まらないからなくなってるぞ 昼間からビール飲んで 「現状キープ」なんて言って 入園料かなんか取られてるぞ アンタ」

 

この流れが皮肉的でゴッチっぽい。

「ねえ、きみネズミになって~」からの流れはお得意の展開だなあと思う。普段だったらもう少し癖をつけるとこを素直にやってて、初めて聴いた時「ああ、いいアルバムだな」と自然に思えた。


PVもいい。

 

2.Humanoid girl

これもあえていう必要がないくらいいい。全編ループしているフレーズが心地いい。他の音に埋もれても、よく聴くと鳴っているループフレーズがやはりたまらなく好きだ。これはBUMPの「stage of the ground」を聴いたときからの趣味だ。

「もういっそ」と「再インストール」の言葉遊び感からも、力の抜け具合が窺える。

この曲はメロからメロへの流れがすごく綺麗。大胆じゃないのに、メロが変わるたびに気分が沸き立つ。

 

3.the long goodbye

寂寥とある種の諦観を描いた曲。

「そこに花が咲こうとも」ともという一節が全てを物語っていて凄くいい。

今回のこのアルバムはどんな悲しさにも希望を残しているのがいい。っていうかゴッチってだいたいそうなんだけど、悲しい歌詞を悲しいまま書かないというか。たぶん作家気質なんだろうなあ、と思う。感情のまま書き殴るより、理路整然と説くってほうが似合ってるし、彼にはたぶんそれしかできない(褒めてる)。

どんな曲にも希望を見いだせるってのは、ビートルズっぽくていいなと思った。

 

4.stray cats in the rain

さあ 生きよう

これっきりなんて言わないでよ

さようならなんて言わないで もう

 この一節。グッとくるよねえ。

日常に対する閉塞を感じながらも、それすら見せ合って、逃げたくなったら逃げてしまおう……という緩やかな「All right」を歌った曲。

そこでも希望だけではなく、どうしようもない諦観をも併せて歌う。

このバランス感、そして現実感こそが後藤正文だと思う。

こんなにも優しい「曝け出せ」というメッセージはゴッチにしか歌えない。

 

5.Can't be forever young

アルバムタイトルと同じ。このタイトルを見た時笑ってしまった。引用元はいくつかあると思うけど、このタイトルそのものがゴッチの諦観をよく表してるし、加齢を匂わせるし、そのうえでどうするべきかってのをよく表してると思う。

だからこそ「いのちを燃やせよ」と歌うのだろう。地味に一番好き。

リード(っていうのもどうかなと思うけど)のフレーズは最初聴いたとき笑ってしまった。なんだこのコテコテのギターフレーズ。こういうところも肩肘張ってなくて好感がもてた。

出てきたフレーズ、弾いてみたフレーズ、とりあえず入れてみるかみたいな手法が輝く作品。とてもよい。

 

6.Nervous Brekdown

アコギのループが気持ちよすぎる。おっさんがテキトーに作ったらいい曲になっちゃった、って手触りがいい。推敲してなさそうなギターソロも好み。

ここでメロディの展開増やすのも違うし、キメを入れるとこの曲の良さが消えるから、とりあえずギターソロ入れてみるか、ああいいじゃん、じゃあこれで。

みたいな流れがありそうな気がするほど、単純な曲。でもいい。

それこそが魅力な曲、そしてアルバム。そしてタイトルの元ネタ。

 

7.Asprin

音が好みすぎる。というか僕がアチコさんが好きすぎるだけなのかもしれない。聴いてるだけで気持ちいい。声を立たせる為に、必要最小限の音数なのも好みの理由かもしれない。

「本当は君に会いたいよ 今直ぐにも」

 

ゴッチは最後の一文で結論を提示するのが好きだなあ、と思った作品。

 

8.Great escape from realty

大げさな身振り素振りもメロディをいらないや

だってここには 陶酔できるだけの言葉と君

統制され続けたビート それで十分

 これこそがこの曲の全てだし、このアルバムの全てだし、ゴッチの本質的な音楽観だと想うわけです。この曲は打ち込み的なビートが気持ちよい。

 

9.Black bird  sing at night

ゴッチの才能を如実に感じた作品。普通にポップで良メロディメーカーなことがわかる作品。取り立てて特徴的な工夫があるわけでもないんだけど、それでも曲としては聴きやすくと耳に馴染みやすい。こういう曲は狙っても作れない。これを聴いてゴッチ才能あんなー、というよりはゴッチ技量高いなーと思ってしまうのは僕が捻くれているからだろうか。

コードストロークとわずかなウワモノ。これだけで聴かせるソングライターとしてのゴッチ。これはスゴイな。

これを先行でサウンドクラウドで配信してたところをみるに、ゴッチ自身もこの曲には自信があったんじゃないかな、と思わずにはいられない。

いやでもまあ、この曲は自信もっていいよなあ……惚れ惚れした。

 

10.Sequal to the Story

リードのフレーズや歪みにオアシスというかUK的な匂いを感じてしまい、思わず顔がほころんだ、というよりほくそ笑んだ。しかも電車内で。さぞ僕は気持ち悪かったことだろうが、いい曲を聴いて笑みを浮かべてなにが悪い。沈んだ顔をして死んだ目を晒して電車に乗っているよりかは百倍健康的だろう。

「些細な言葉でも 読み違いがあったよ ねぇ それならば もう一度 話をしよう」

 

こういう心象をゆるく吐露したような歌詞はずるい。泣きそうになってしまった。

もうちょっとみんな考えてゴッチにリプライとかしようぜ、って普段から思ったりもしてるからか、妙に響いた。個人的には一番タイトルが好きな曲。邦題もなんだか手触りが心地いい。

 

11.A girl in love

最初「憎くってぇー」の「てぇー」を聴いたときに「うっぜw」と思ってしまったんだけど、今はむしろそれが気持ちよくなっている。とりあえず耳に引っかかることが大事なんだなと思い直した曲。

「耳に引っかかる=フック」と捉えるのは些か安直ではあるものの、そう思ってしまった。

「変」であることは「注目を浴びる可能性がある」ということだ。なにも出っ張りも引込みもないものなど誰もみない。「なんだ?」と注目を浴びせなければ、他のよいところも気づかれない。

そう思い、自分の行いを顧みて……いろいろ反省するわけです。

 

ゴッチが恋について直球(ってほどでもないが)で歌うのがなんだか嬉しくなってしまった曲。ギターソロがいい。



ホントこのゴッチ楽しそうだよな。

 

12.LOST

これ曲単体で買ったなあと思い出した。別に震災がどうのこうのとかって話でもなく、単純にいい曲だったから(これも言い訳がましくてなんだか自分が嫌になったりもする。こう言い訳するのもなんだか女々しくてちょっと……とも思う)。

葬儀の列に君がきたところで遅いって もう灰になって

月日の経過と共に、ゴッチの死生観を歌った曲だと思う。

LOSTっていうタイトルもそうだし「僕らは失う……けれど」みたいな曲だと思う。

 

すべてを失うために すべてを手に入れようぜ

 

  

まとめ

もう一度聴いてみたけれど……この作品は最高傑作ではないなあとも思う。いい作品ではあるけど、これを最高傑作と呼ぶのはちょっと違う気がする。秀作って感じでもない。

 

友達がサウンドクラウドにあげた曲がやたらとよかった。

 

これくらいの手触りが一番似合ってるアルバム。無論、褒めてる。

 

ASIAN KUNG-FU GENERATION|砂の上

よかったらこの曲も聴いてみてください。この曲、音はすごくチープなのに温かいんだ。

 

Live in Tokyo [Analog]

Live in Tokyo [Analog]

 

 音楽的な喜びがスパークしたライブアルバムもある。これもよい。

 

よいのだ!

 

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